2012 Fiscal Year Research-status Report
等式制約付き多峰性関数最適化のための進化計算手法を用いた遺伝子ネットワーク同定
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23700266
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
木村 周平 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20342777)
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Keywords | 進化的アルゴリズム / 遺伝子ネットワーク / S-system |
Research Abstract |
前年度において,従来手法である線形計画法を利用した遺伝子ネットワーク同定法を応用することで,遺伝子ネットワークのS-systemモデル同定法を提案している.この手法は線形計画問題を解き,次に一次元関数最適化問題を解くことでS-systemパラメータを推定している.今年度はその手法をさらに改良することで,従来よりも高速な遺伝子ネットワークのS-systemモデル同定法を開発した.具体的には線形計画問題を解き,さらに一次元関数最適化問題の代わりに線形連立方程式を解くだけでS-systemパラメータを推定するものである.線形計画問題を解き,線形連立方程式を解くだけで非線形のS-systemモデルのパラメータ推定が推定できる本手法は常に唯一の解を発見することが可能であり,従来手法の持っていた局所解に陥る問題を回避することができた.この研究の成果に関してはニューラルネットワークに関する国際会議の論文(Proceedings of the 2012 International Joint Conference on Neural Networks, pp. 2000-2007)の形で発表した. S-systemモデルは遺伝子ネットワーク同定のためにしばしば使われているモデルであり,このモデルの同定が高速に行える提案手法は,遺伝子ネットワークを利用したガンなどの病気に対するドラッグターゲットの開発などに有用であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に等式制約を持つ関数最適化問題のための進化的アルゴリズムの開発は出来ており,その応用として遺伝子ネットワーク同定法の開発を行っているため,本研究は概ね予定通りに進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは遺伝子ネットワークのS-systemモデル同定法を開発してきたが,S-systemモデルは比較的パラメータ数が多く,妥当な解を得るためには多くの遺伝子発現データが必要であることが分かっている.実用を考える上ではこの性質は必ずしも好ましいものでは無い.そこで今後はS-systemモデルのように生化学反応を近似可能であり,なおかつパラメータ数の少ないモデルを用いた遺伝子ネットワーク同定法の開発を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たな遺伝子ネットワーク同定法の計算コストは必ずしも低くないことが予想されるため,実験を行うための計算機を購入する予定である.その他には国内外の学会発表のための出張旅費,論文投稿料,及び英文校閲料に使用する予定である. なお計算機については前年度までに購入する予定であったが,出張旅費,並びに論文校閲代のために充分な予算が確保できなかった.そのため今年度の繰り越し金と次年度予算を合わせて購入する予定である.
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Research Products
(1 results)