2012 Fiscal Year Annual Research Report
電子透かしのロバスト性強化に対する確率・統計的アプローチ
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23700268
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福光 昌由(中本昌由) 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00403585)
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Keywords | 電子透かし / 著作権保護 / ロバスト性 / 確率・統計 / 誤検出率 / 情報埋め込み / HVS / 相関 |
Research Abstract |
本研究では,透かしの検出時に,透かしが無いにもかかわらず「有り」と判断してしまう「陽誤検出の確率」(誤検出確率)を,埋め込み係数の分散を元に理論的に計算し,検出した透かし信号の誤検出率を保証する電子透かし法を開発した.ここでは,透かし信号を反復してコンテンツ(画像)に埋め込み,誤検出確率を保証した上で検出する新たな方法を提案した.さらに,同時にコンテンツの中にビットパターンデータを埋め込みことにより,透かしの有無を誤検出率に基づいて判定できるだけでなく,様々な付加情報を埋め込むことが可能な手法を開発した.実験では,いくつかの静止画像に対してJPEG圧縮・縮小・クロッピング等の攻撃に対して十分な耐性を有することを確認した. さらに,離散ウェーブレット変換された領域に対して,人間の視覚特性(HVS)を考慮した上で透かし信号を埋め込む手法を開発した.従来法として,検出時に透かし入り係数と透かし信号の相関を計算し,相関値の正負符号に基づいてビット判定を行う手法が提案されているが,本研究では,この手法を改良し,より多くの情報を埋め込めるように埋め込み・検出方法を再構築した.実験では,従来法と比べて2倍以上の情報を埋め込み可能となることを確認した. また,電子透かしの安全性を向上させるため,情報の埋め込み空間を秘密鍵によって生成し,埋め込み空間を攻撃者から見つけにくくする方法についても検討した.提案法では,攻撃者が秘密鍵を相関計算によって特性するのは極めて困難となり,安全性が大幅に向上している.一方で,従来と同じようにHVSに基づいて透かしの埋め込みが可能であり,さらに,JPEG圧縮・縮小・クロッピング等に対するロバスト性もほぼ同等である.すわなち,従来の電子透かしの性能や利便性を損なうことなく,安全性のみを強化することに成功した.
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