2012 Fiscal Year Research-status Report
インターネットによる知識ギャップ拡大要因の検証及び社会的帰結に関する国際比較研究
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23700282
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金 相美 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (10401241)
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Keywords | 国際情報交換 / 韓国 / デジタルデバイド / スマートデバイド / 情報格差 / 知識ギャップ / 社会的コンテキスト / ケータイ族 |
Research Abstract |
(1)定量調査 本研究の目的は、日本におけるインターネットによる『知識ギャップ』拡大のメカニズムを明らかにし、その社会的帰結の考察である。そのため、本年度は国際比較調査による社会文化的要因の検討のため、質問紙調査を実施した。平成24年度前半においては、研究課題・仮説を設定、先行研究のレビュー及び質問項目の検討を、平成24年度後半においては、構造的質問紙調査票を作成及び実査(日本と韓国)を行った。調査方法は、日本と韓国の首都圏在住の成人男女を母集団とし、ウェブをベースとしたインターネット調査によって本調査を実施した。 ・分析の目標 ①社会的コンテキストによる情報デバイドの要因の検討:動機づけ・情報欲求に注目し、それらが社会的コンテキストによって如何に異なる形で規定されるのかについて考察する。② 『知識ギャップ』における社会文化的要因の検討:『知識ギャップ』におけるネットの効用は社会文化的要因とも深い関係性を持つことが予想される。本研究では、日韓におけるネットの政治知識の習得の効果を比較することによって、『知識ギャップ』拡大の要因を探ることを目的とする。③『知識ギャップ』におけるインターネットの社会的帰結の考察:目標①と②の検討後、申請者はインターネットがもたらす社会的帰結に関して総合的に俯瞰することができる全体図(モデル)の作成に取り組む。これにより、情報デバイドによる社会不平等問題の解決及び社会・政治参加促進による円滑な民主主義実現のためのインターネットの活用法について提示することを最終目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)当初平成24年度の目標であった日本と韓国、両国の質問紙調査は無事実施することができ、一定の結果が得られた判断され、今後分析作業に努める予定である。 (2)情報政策及び情報教育の担い手に対する実態調査に関しては、韓国の政治情勢の変動(大統領選挙・政権交代)と伴い、十分なフィールド調査を行うことができなかったと半田案され、今後追加・補足調査が行うとし、当初の目的を達成する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)海外共同研究者について:来年度韓国で実施される予定のフィールド調査研究の円滑な実施のため、共同研究者及び韓国情報化進行院(NIS)研究者と綿密な連携体制を構築し、確かな協力を得られるように努める。 (2)日本での調査設計・実施に当たっては、橋元良明(東京大学)、木村忠正(東京大学)と研究連携体制を築いており、実際のフィールド調査実施のためのスケジュール調整段階である。 (3)資料収集・データ分析のための研究協力者として大学院博士前期・後期課程在籍者を資料調査補助人員を積極手的に雇用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)追加定性調査:平成23年度において、「ケータイ(モバイル)」のみをネットワークツールとして利用する若年層を、それぞれの社会的文脈ーたとえば、就業状況、社会参加、政治関心などーを考慮に入れた上で、動機づけ、情報欲求などがメディア選択・利用様相(新聞・テレビ利用も含む)への影響についてフィールド調査を行ったが、今後スマートフォン利用との関連について補足検討する予定である。 (2)情報政策及び情報教育の担い手に対する実態調査:本研究は、政府機関及び教育現場における情報教育の実態調査を計画しており、該当機関との協働型の研究体制を早期から構築・推進する。申請者は、以前からこれら組織及び関係者との協力関係確立に向けて準備を進めており、スムーズな実施が十分期待される状況にある。本研究が現時点で想定する協力先は以下のとおりである。 ・ 本側:総務省(情報通信審議会)、文部科学省(初等中等教育局) ・ 韓国側:韓国放送通信委員会、韓国情報社会振興院(NIA)
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Research Products
(4 results)