2012 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ公共図書館の発達停滞にみるアウトリーチサービス発展条件に関する実証的研究
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23700290
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Research Institution | Ibaraki Women's Junior College |
Principal Investigator |
中山 愛理 茨城女子短期大学, ことばの芸術学科, 講師 (80435239)
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Keywords | アメリカ合衆国 / 公共図書館 / 図書館アウトリーチサービス |
Research Abstract |
本研究では、アメリカ合衆国南部の公共図書館におけるアウトリーチサービスの遅滞していた状況について明らかにするため、イリノイ大学アーカイブズセンター所蔵のアメリカ図書館協会文書を調査した。 その結果、研究計画で予定したアメリカ合衆国南部の図書館において、どのような図書館アウトリーチサービスが取り組まれていたのかを示す史料を発見することができた。デジタルカメラの撮影により収集した史料は、適宜紙に出力し、整理を行った。 その上で、史料を分析し、サービスを促進した人物の存在とそれを支えたアメリカ図書館協会の関係を確認した。一方で、サービスを運営するための資金については、1920年代から40年代にかけて、一律であったのではなく、州により大きな差があったことが確認された。そうした成果を「アメリカ南部の公共図書館の停滞」という題目を付けて研究集会で発表した。 また、最終年度に予定していた図書館の訪問を一部実施し、南部地域に隣接する地域の公共図書館活動の様子を調査することができた。その調査の結果を踏まえて、「アウトリーチサービスから多様な高齢者サービスへ:アメリカの公共図書館」(『高齢社会につなぐ図書館の役割』所収)を成果としてまとめ、公表した。そこでは、現代の図書館がアウトリーチサービスを実施するために、ボランティアを活用することで、サービスの運営費用の抑制を図っていることが確認できた。また、ウェブベースのサービスを行うことも見られ、こちらもサービスの運営費用の抑制に寄与していると確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度には、アメリカで一次史料の調査、収集を行った。デジタルカメラで撮影した史料は、紙に出力して、ファイリングを行い整理した。そのうえで、収集した資料を活用し、研究成果の発表・報告を行ったことで、昨年度遅れていた予定をおおむね取り戻すことができた。また、次年度予定した内容を一部着手することができた。 その一方で、一次史料の調査で、予想以上の分量の資料を入手したため、やや分析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に調査し、入手した一次史料の分析を引き続き、行うとともに、それら資料を補足する新たな資料の追加入手を予定している。 南部の図書館における図書館アウトリーチサービスに関する文書史料を平成25年度に南部の州立図書館及びアーカイブズ並びに大学アーカイブズを訪問し調査収集する。訪問する地域は、ジョージア州などのデープサウスと呼ばれる南部の特徴を最も表すとされる地域を念頭に選定をする。 それらの調査を踏まえて、学会報告、論文等に研究成果をまとめる。 また、最終年度として研究の成果のとりまとめを行うとともに、次の研究に向けた課題を洗い出す。それをもとにして、次の研究計画を立案し、新たな研究費の取得の準備作業を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アメリカ合衆国南部地域に関する図書館活動の状況を示す史料等を現地調査するための、旅費が研究費の大半を占める予定である。また、現地での調査委に伴う、複写費用、複写した資料の整理するためのファイル用品などにも使用する計画である。 その他に、本年度予定しているアメリカでの調査に基づく、研究成果を学会発表・報告するための旅費を支出する。 最終年度として、本研究課題に基づく、研究成果を取りまとめた研究報告書の作成のための費用にも支出を予定している。
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