2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるアマチュアのコンテンツ制作文化の社会的機能に関する調査研究
Project/Area Number |
23700296
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Research Institution | Shobi University |
Principal Investigator |
七邊 信重 尚美学園大学, 総合政策学部, その他 (80431774)
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Keywords | ゲーム学 / 産業論 / 文化研究 / 社会学 / ライトノベル / コンテンツ / 同人 / 聞き取り調査 |
Research Abstract |
平成24年度は、コンテンツ自主制作者と産業を分析するための枠組の構築と、自主制作の課題を解明することを試みた。調査と分析の結果、次の知見を提出した。 ① 文化的作品の制作に関する先行研究を整理し、「三つの制作場」「四つの資本」といった概念を提示した。作りたいゲームを自主的に作る人々の世界である「自主制作文化」、作りたいものを作ることと生計を立てることを両立させている人々の世界である「自律制作市場」、営利目的でゲームを制作する企業によって構成される「産業」というゲーム制作の三つの場を、複数の変数で定義した。 ② アマチュアのコンテンツ自主制作者、とりわけPCノベルゲーム制作者の動機づけの特徴と、その課題を解明した。自主制作者は「制作自体の楽しさ」「交流」「評価」という非経済的報酬に動機づけられて自主制作を行っていた。しかし、こうした非経済的報酬をゲーム制作者の多くが得ることが難しいことも明らかになった。マンガ・音楽制作に比べ、ゲーム制作では、制作人数の多さや制作期間の長さなどのため、作品完成の喜びを得ることや他の制作者・ユーザーと交流すること、評価を得ることが難しい。非経済的報酬を得ることが難しいことが、制作者の動機づけを奪い、自主制作ゲームの完成率の低さという現象をもたらしていることを明らかにした。 ③ ②の非経済的報酬の不足という問題の解決策として、コンテンツ自主制作のマネジメントを伝える研究会、制作作品の発表と、制作者間、制作者・ユーザー間の交流の機会を提供するイベントの開催を提案した。具体的に、研究代表者らが国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)で行っているゲーム自主制作に関する研究会と、作品発表会について報告した。
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