2013 Fiscal Year Research-status Report
アイロニー産出に関与する神経基盤の検討による高次意図伝達メカニズムの解明
Project/Area Number |
23700305
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
秋元 頼孝 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (00555245)
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Keywords | アイロニー / ポライトネス / 発話産出 / fMRI / MEG |
Research Abstract |
昨年度に確立した実験デザインを用いて、発話産出に関する2つの脳機能計測実験を実施した。第一の実験は、発話産出時にポライトネス(対人配慮)の考慮を担う神経基盤を明らかにするためのfMRI実験である。実験参加者は、ポライトネスの概念を学習した上で発話産出課題を行った。発話産出課題では、顔写真(友人という設定)と友人がささいな失敗をした状況を説明する文が提示され、実験参加者は、「積極的ポライトネス」「消極的ポライトネス」「ポライトネスなし」のいずれかの条件で発話産出を行った。第二の実験は、アイロニー産出を担う脳メカニズムを明らかにするためのMEG実験である。実験の手続きは、アイロニーもしくは字義的発話を産出するように指示した以外は、課題1と同様の手続きであった。いずれの課題についても、発話内容および発話産出開始・終了までの時間を記録した。また、質問紙を用いて社会的スキルなどの個人特性を測定し、脳活動との関係を検討した。産出された発話をテキストに書き起こした後、どの条件で発話されたのかを伏せた上で、別の実験参加者による評定実験を実施した。 現時点ではまだ予備的な解析の段階ではあるが、第一の実験ではポライトネスの考慮に眼窩前頭皮質が関与し、その脳活動の大きさが友人関係に関する個人特性と相関を示すこと、第二の実験ではアイロニーの産出には、アイロニー理解の際と同じ内側前頭前野や右側頭葉前部が関与していることを示唆する結果を得ている。本研究の結果は、これまでほとんど検討されていなかった社会的なレベルでの発話産出の脳メカニズムを明らかにしたという重要な意義を持つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度に、発話産出に関する2つの脳機能計測実験の成果を学会および国際誌で発表する予定であったが、まだデータの解析を完了しておらず、成果発表まで至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脳活動データの最終的な解析を完了させたのち、学会でその成果を発表するとともに、国際誌に論文投稿を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に、発話産出に関する2つの脳機能計測実験を実施するとともにその成果を学会および国際誌で発表する予定であったが、データの解析に予想以上の時間がかかり、また研究代表者が研究機関を異動したこともあって研究成果の発表まで至らなかったため、未使用額が生じた。 学会および国際誌での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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Research Products
(1 results)