2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700308
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 麻衣 東京大学, 生命科学ネットワーク, 特任助教 (40512299)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 社会行動 / 左右性 / 動物行動学 / 認知科学 / 海洋動物 / イルカ / 鯨類 / ハクジラ亜目 |
Research Abstract |
伊豆諸島御蔵島のミナミハンドウイルカは、胸ビレで相手をこする社会行動(ラビング)を、左ヒレで行う傾向がある。この現象が、イルカに共通して現れる行動形式なのか、後天的に獲得された行動が伝播した個体群特有の行動形式(文化)であるのかを明らかにする。そのために、ラビングの左右性の発達・個体群間比較・種間比較を行う。 本年度は、御蔵島に約40日間滞在しミナミハンドウイルカの水中行動のビデオデータを収集した。また、能登島に定住する本種8個体に対し予備調査を行い、水中観察可能であることを確認した。篠原正典氏より本種の小笠原個体群の水中ビデオデータを借用し、ラビングの左右性を解析中である。 鳥羽水族館のイロワケイルカ4個体(オトナオス1、ワカオス1、オトナメス2)を対象に、ラビングのビデオ撮影及び目視観察を行った。その結果、オトナオスは154例のうち97%、ワカオスは74例中81%で左ヒレを使用することがわかった。オトナメスは12例中42%、11例中82%で左ヒレを使用した。今後、メスのデータを増やす予定である。 Kathleen Dudzinski氏より、野外の生簀に蓄養されているハンドウイルカ27個体の水中ビデオデータを借用し、ラビングの左右性を分析した。その結果、左ヒレを使用した例は735例中54%で大きな偏りはなかった。23個体の使用ヒレの偏りを検定したところ、1個体のみ有意に左ヒレを多く使用していたが、有意に右ヒレを多く使用する個体はいなかった。 Kathleen Dudzinski氏より、バハマの野生マダライルカの水中ビデオデータを借用し、ラビングの左右性を分析した。その結果、左ヒレを使用した例は499例中53%で大きな偏りはなかった。18個体において使用ヒレの偏りを検定したところ、2個体のみ有意に左ヒレを多く使用していたが、有意に右ヒレを多く使用する個体はいなかった。 今年度の解析で、使用ヒレの左右性は、種によって違いがあることが示唆された。
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Research Products
(6 results)