2011 Fiscal Year Research-status Report
脳波・経頭蓋電気刺激を用いた「ひらめき」時における因果ネットワーク解析
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23700311
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
南 哲人 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 特任准教授 (70415842)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脳波 / 二値化画像 / PDC / ひらめき / トップダウン処理 |
Research Abstract |
二値化画像を用いて、脳のあいまい状態の研究をさらに進めて、答えがわかっていたときに答えを見せられたときの脳状態と、答えがわからなかったときに、答えを見せられたときの脳状態を比較して、「気づき」がどのように脳に表象されているかを脳波の周波数解析および同期解析を用いて調べた。具体的には、認識状態の遷移について調査するために、二値化画像呈示後に対応するグレー画像を呈示することで、認知状態の遷移を引き起こし、その際の脳活動を、脳波を用いて計測した。解析手法として 時間的なネットワークの方向性・因果関係性を明らかにすることができる PDC 解析を使用し、状態が遷移する場合 (一回目の白黒画像で認識できず二回目の白黒画像で認識できる 場合) と状態が遷移しない場合 (一回目の白黒画像で認識でき二回目の白黒画像でも認識できる場合と一回目の白黒画像で認識できず二回目の白黒画像でも認識できない場合) の比較検討を行った。脳活動の因果関係を調査した結果、状態遷移が生じる脳内の時間的なダイナミクスを明らかにした。まず、腹側の視覚処理経路で形成されるボトムアップ処理の促進、次に物体構成時に必要な腹側の視覚処理系と意思や記憶などに関連する前頭領域とのトップダウン処理が行われ、その後、二値化画像の記憶と現在のグレー画像の情報を統合し、その統合処理の影響を受け、活動が右側頭に生じた。そして、最後にその統合処理後の知覚表象を形成するために後頭部で活動が生じた。このような一連の状態遷移が明らかになり、その一連処理の中でも左右側頭の因果関係がひらめきや洞察の重要な要素であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、「ひらめき」の瞬間における情報処理ネットワークの因果関係をPDC解析により明らかにすることが出来ており、隠し絵知覚における脳波において、どの部位が、どの部位に影響を及ぼしているのかを時空間的に示すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初実験計画通り、今年度、解明した因果ネットワークをtDCSにより外部刺激することにより、隠し絵知覚パフォーマンスが変化するかを調べ、操作脳科学的に、ネットワークの因果関係の解明する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、これから進めていく操作脳科学的な手法に必要な備品を購入するとともに、予定通り、調査研究旅費や成果発表費および実験必要経費として使用していく予定である。
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