2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳波・経頭蓋電気刺激を用いた「ひらめき」時における因果ネットワーク解析
Project/Area Number |
23700311
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
南 哲人 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, テニュアトラック准教授 (70415842)
|
Keywords | ひらめき / 脳波 / tDCS |
Research Abstract |
本研究は、脳波による情報理解の「あいまいさ」に関する研究をさらに発展させ、「ひらめき」の瞬間における情報処理ネットワークの解明を目的とする。具体的には、二値化により情報を欠落させた画像から、画像に含まれた事物を発見するというタスク中の脳波計測を行った。実験は、二値化画像→グレー画像→二値化画像の順に呈示するものとし、その呈示された二値化画像が知覚できたかをボタン押しで判断するというタスクを行う。解析では、答えとなるグレー画像を見た時の脳波が認知状態によりどう違うかを調べた。その結果、脳波ベータ帯に有意な差があり、その差のもととなる脳領域を、信号源解析を用いて調べると、後頭・頭頂領域であることが分かった。 さらに、閾下状態において、前頭前野の意味処理が行われるかどうかを tDCS と脳波を用いて調査した。閾下刺激の視覚処理は閾下 priming 効果から観測可能であることを利用し、tDCS の陰極を用いて前頭前野を抑制した時の閾下 priming 効果の変化を観測した。前頭前野の意味処理が閾下処理に関係していなければ、前頭前野の脳活動が電気刺激によって変化しても、閾下処理を反映する priming 効果は変化しないと仮説を立てた。tDCS と組み合わせた実験では、LPC 結果より、tDCS の電気刺激がない場合 Henson ら(2008)の先行研究と同様な結果が得られ、閾下状態では有名人顔のみ priming 効果が確認 できた。tDCS の電気刺激を用いて前頭前野を抑制した時、閾下 prime の場合に有名人顔のpriming 効果が消滅した。以上をまとめると、有名人顔において閾下 priming 効果が前頭前野の抑制によって消滅したことから、閾下処理は前頭前野の抑制によって抑制されたと考えられる。よって、閾下処理においても前頭前野の意味処理が行われると推測された。
|