2013 Fiscal Year Annual Research Report
音声コミュニケーションを司る神経基盤の解明~臨界期とその分子的実体を探る
Project/Area Number |
23700317
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 真樹 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (80345016)
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Keywords | 音声コミュニケーション / 臨界期 / ジュウシマツ / コモンマーモセット / 神経科学 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究では、ヒト言語(母語)獲得の神経基盤を解明するために、臨界期に着目して研究を行った。機能的ヒト脳モデルとして音声学習臨界期の存在が知られる鳴禽類を用い、解剖学的ヒト脳モデルとして多様な音声コミュニケーションと発達した聴覚野を持つ小型霊長類コモンマーモセットを用いて実験を行った。 1)ジアゼパム投与個体における可塑性関連分子の発現解析: これまでの実験で、ジアゼパムを臨界期直前に投与することで歌学習臨界期の短縮がみとめられたため、歌制御神経核における可塑性関連分子の発現変化をin situハイブリダイゼーションにより検討した。その結果、着目していた遺伝子の発現に変化が認められなかったことから、ジアゼパムによる臨界期の変化と可塑性関連分子の転写制御は独立のメカニズムである可能性が示唆された。 2)CaMKIIa阻害剤投与による歌学習への影響: CaMKIIaの歌学習への関与を検討するため、臨界期中のHVCに直接CaMキナーゼII阻害剤を注入し、歌学習への影響を検討したところ、歌の学習に関してコントロール個体との差が認められなかった。 3)cDNAマイクロアレイを用いた臨界期操作により変動する遺伝子群の探索: 隔離飼育とジアゼパムによる臨界期の変化と、予想していた可塑性関連分子の転写レベルでの変化が一致しなかったことから、臨界期操作によって変動する遺伝子の探索を行ったところ、数十種類の遺伝子の発現変動が認められた。 4)マーモセット脳における遺伝子発現比較:発達段階のマーモセットの脳の収集を行い、可塑性関連遺伝子や言語関連遺伝子のin situハイブリダイゼーションを行った。言語関連遺伝子の発現パターンについては発話障害関連遺伝子と読字障害関連遺伝子の発現パターンを解析し、これらの遺伝子が聴覚経路や視覚経路、運動調節領域において重複した発現パターンを示すことを明らかにした。
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