2011 Fiscal Year Research-status Report
異種感覚統合としての自己身体表象の発達メカニズムの解明
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23700322
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
宮崎 美智子 玉川大学, 脳科学研究所, グローバルCOE研究員 (90526732)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 身体表象 / 自己 / マークテスト / 発達 |
Research Abstract |
異なる感覚で表現される自己身体表象の統合は自己認識の発達にとって重要である.しかし,異なる感覚がどのように単一の身体表象に統合されるのか,そのメカニズムは明らかでない.本研究では幼児期における自己身体表象発達メカニズムの解明を目指す.具体的にはマークテストにおける幼児の不思議な振る舞い(後ろ探し現象)を手掛かりとして構築した自己身体表象の統合モデルの精緻化・妥当性の検証を試みている.マークテストにおける後ろ探し現象とは,気づかぬうちに前頭部に貼られたマークを2歳児が鏡を通して取り除く際に,後頭部から探し始めるというエラーである.平成23年度は,言語ラベルの覚醒化による体性感覚性の身体表象の精度向上についての検討を実施した.これまでの研究成果から,マークを鼻に付けた場合に比べてマークを前頭部に付けた場合に,2歳児の後ろ探し現象の出現率が有意に上昇することが分かっている.今年度の実験では「おでこ」という身体部位について,語りかけ遊びを通じて言語ラベルの覚醒化を図ったのちにマークテストを実施し,言語ラベル覚醒化の効果を検討した(【研究項目1】).その結果,後ろ探し現象の出現率が有意に減少した.この結果は,言語ラベル覚醒化によって視覚性・体性感覚性の統合が促進された可能性を支持する.現在,統制実験として「鼻」という身体部位の言語ラベル覚醒化の影響を検討中である.【研究項目2】として,視覚性・体性感覚性の身体表象の統合に関する処理についての実験を進めている.本年度は体性感覚性身体表象を覚醒化させるための振動マーク帽子を開発した.極小・軽量の振動子を縫い込んだ帽子を幼児にかぶってもらい,マークテストにおける探索を実施する際に無線装置でマーク位置の身体部位を振動させることにより,体性感覚性の身体表象の覚醒化を図る.体性感覚性身体表象の覚醒化が後ろ探し現象の出現に及ぼす影響の検討を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付金の3割の支給が遅れたことにより備品の購入が遅れ,当初の研究計画の順序を変更しなくてはならなかったが,計画はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,前年度に実施した【研究項目2】視覚性・体性感覚性の身体表象の統合に関する処理についての実験,に関連して,下記の2つの研究項目を実施する.【研究項目2-1】として,前年度に開発した振動マーク帽子を使用し,視覚性・体性感覚性の身体表象の統合に関する処理における体性感覚性の身体表象の役割を明らかにする実験を実施する.振動マーク帽子とは,極小・軽量のバイブレータが埋め込まれた幼児用の帽子で,無線で振動を生じさせることが可能である.この振動マーク帽子を用い,体性感覚性の身体表象に対する覚醒度を操作した状態でマークテストを応用した身体マッピング課題を実施する.【研究項目2-2】として,幼児の自己身体部位表象に関するトポグラフィの記述を試みる.これまで鼻とおでこに焦点を当てた身体マッピングを検討してきたが,バーチャルリアリティ技術を用いることによって,全身の身体部位に検討対象を広げることにより,身体部位表象のトポグラフィに関する精度の違いを明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
■設備備品費 昨年度購入したビデオスイッチャーへ複数アングルから映像の入力を行うため,撮影用のビデオカメラが必要である.また,実験刺激作成,実験施行(刺激呈示),のためにノートパソコンを購入する予定である.450,000円を計上する.■消耗品費 記録データは映像が中心でかなりの容量を要するため,記録媒体として大容量HDD・バックアップ用DVDメディア等が必要である.100,000円を計上する.■旅費 国内学会・国際学会での成果発表を積極的に行うため,300,000円の旅費を計上する.■謝金等 謝金は刺激,装置の作成のための学生アルバイト,実験の実施補助,データコーディングに必要である.特に幼児実験の実施に際しては,少なくとも同時に2人が必要である.必要な被験者数が1実験あたり60名とすると,失敗率30%を加味した必要被験児数は1実験につき78名となり,1実験の実験補助には時給860円換算で134,160円の実験補助謝金が必要である.また論文の投稿は国際誌を標準とするため,校閲料が必要となる.合計250,000円を計上する.■その他 幼児実験の協力者募集のためのチラシ作成の必要費として,100,000円を計上する.
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Research Products
(6 results)