2012 Fiscal Year Annual Research Report
異種感覚統合としての自己身体表象の発達メカニズムの解明
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23700322
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
宮崎 美智子 玉川大学, 脳科学研究所, グローバルCOE研究員 (90526732)
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Keywords | 身体表象 / 自己 / マークテスト / 発達 |
Research Abstract |
異なる感覚で表現される自己身体表象の統合は自己認識の発達にとって重要である.しかし,異なる感覚がどのように単一の身体表象に統合されるのか,そのメカニズムは明らかでない.本研究では幼児期における自己身体表象発達メカニズムの解明を目指す.具体的 にはマークテストにおける幼児の不思議な振る舞い(後ろ探し現象)を手掛かりとして構築した自己身体表象の統合モデルの精緻化・妥当性の検証を試みている.マークテストにおける後ろ探し現象とは,気づかぬうちに前頭部に貼られたマークを2歳児が鏡を通して取り除く際に,後頭部から探し始めるというエラーである. 平成24年度は,前年度に引き続き,言語ラベルの覚醒化による体性感覚性の身体表象の精度向上についての検討を実施した.「おでこ」「鼻」「あたま」という身体部位について,語りかけ遊びを通じて各身体部位に注意を向けさせた後,マークテストを実施し,言語ラベル付与によるカテゴリ精緻化の効果を検討した.その結果,「おでこ」条件のみ後ろ探し現象の出現率が有意に減少した.この結果は,言語ラベル付与によるカテゴリ精緻化によって視覚性・体性感覚性の統合が促進された可能性を支持する.また,体性感覚性身体表象と後ろ探し現象の関係を検討するための実験を進めた.極小・軽量の振動子を縫い込んだ帽子を幼児にかぶってもらい,マルチアングルからの映像参照によるマークテストを行い,マークの探索を実施する際に無線装置でマーク位置の身体部位を振動させることによって,体性感覚性身体表象の覚醒度をコントロールする.平成23年度に開発した振動マーク帽子を実際の幼児を対象とした実験場面で使用できるよう検討した.実用化にはまだ時間を要するが,これを用いて体性感覚性身体表象の覚醒化が後ろ探し現象の出現に及ぼす影響の検討を引き続き進める.
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Research Products
(9 results)