2011 Fiscal Year Research-status Report
素材の質感を形成するクロスモーダルな神経基盤の解明
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23700326
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
北田 亮 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 助教 (50526027)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 触覚 / 質感 / 視覚 / クロスモーダル / 認知脳科学 / fMRI |
Research Abstract |
ヒトは物体を見るだけで、柔らかさ・粗さ・温度のような素材の質感(material perception)を経験できる。これらの質感はもともと触覚によって知覚するものであり、質感のメカニズムを理解するには、触覚がどのように素材の質感を処理し、それを視覚と結びつけるかを明らかにする必要がある。しかし触覚による素材の質感処理に関わる脳認知科学的モデルには不明な点が多く、触覚と視覚の情報がどのように結びつくかについては未だに不明である。本研究はこの点に着目し、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を駆使して、「触覚から得られる素材の質感が脳でどのように処理され、視覚と結びつくのか」について明らかにしようとするものである。本年度は下記の2点に関する研究を行った。(1)触覚による粗さ知覚の心理物理学実験質感に関する触覚と視覚のクロスモーダル知覚を理解するためには、触覚の質感についてより深い理解が必要である。本研究では粗さ知覚の速度に対する恒常性が無毛部である指では存在するが、有毛部である前腕では存在しなかった。この研究はPerception誌に採択された。(2)機能的磁気共鳴法(fMRI)を用いた触覚と視覚のクロスモーダル実験さらに本研究計画通り、fMRIを利用して触視覚のクロスモーダルマッチング実験を行った。過去の研究で観察された結果をすでに確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載された研究を予定通り遂行できただけでなく、本研究課題に密接に関連した実験の成果を発表することができた。そのためおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に基づき、次の研究を行う。(1)触視覚による粗さ知覚のクロスモーダル研究触覚と視覚の粗さ知覚は異なる。そこでこれらの差異を検討するとともに、触視覚によるマッチングに関わる脳活動が測定できるかどうかについて検討する。(2)機能的磁気共鳴法(fMRI)を用いた触覚と視覚のクロスモーダル実験本実験で得られた解析を従来の解析手法だけでなく、領域間結合解析やマルチボクセルパターン解析を含めて様々な切り口から検討し、論文にまとめる。(3)(2)の結果に基づき、研究計画に記載された次の実験を行う。もし(2)の実験でクロスモーダル知覚に関する十分な検討が可能であれば、(2)の解析と論文作成を優先し、不十分な点を本実験で埋めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述した研究計画の推進のために利用する。特に次に行う心理物理学実験およびfMRI実験のために利用するだけでなく、新たな解析方法の導入にあたって必要な資料・ソフトウェアの入手に利用する。また論文として採択された心理物理学実験の成果はまだ学会で発表していないため、国内外での発表のために利用する。
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