2011 Fiscal Year Research-status Report
自己から他者への視点切り替えに関わる脳メカニズムの解明
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23700328
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川崎 真弘 独立行政法人理化学研究所, 脳リズムモデル連携ユニット, 研究員 (40513370)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脳波 / 視点変換 / fMRI / シータ波 / 視覚注意 |
Research Abstract |
コミュニケーション時に相手の行動や意図の予測に関係する脳メカニズムを探るために、自己・他者方向判断課題遂行時の脳波測定実験を行い、データの解析を進めた。この視点変換課題は、ディスプレイ上に呈示された円が矢印に対して右または左にあるのか回答する課題である。本年度は、反対側の頭頂シータ波(6Hz)の振幅が注意の方向を表現すること、視点変換時には両側のシータ波が増加することを示した。さらにこの頭頂シータ波は前頭のシータ波と位相同期し、この同期が視点変換を実現する可能性を示した。この結果を受け、来年度は空間解像度の高いfMRI測定によって更に詳細な部位を特定する実験を計画する予定である。また当課題はコミュニケーションの基礎である社会性における注意にも関係するため、本年度は視覚注意と感情の関係を脳波測定実験で探った。同時に呈示された2色の好き嫌いを判断させる課題を行ったところ、視覚注意に関係する反対側の視覚野のシータ波が、好きな色に注意した時に増加することを示した。さらにこの主観的な好みの影響は注意を向けていない場合にもシータ波の増加を誘発することを示した。本年度はこの結果を学会発表し、NeuroImage誌に投稿・報告した。上記の研究より社会性を伴う視覚注意におけるシータ波の脳ダイナミクスの重要性が示唆されているので、本研究はこのシータ波の効果についてfMRIを用いて調べることも計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視覚注意に関する論文が投稿できている点。脳波測定実験の結果をまとめ、論文投稿準備ができている点。fMRI実験で用いる課題が既に作成されている点。以上の点より、来年度も順調に研究計画を進めらると予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
春に予備実験などを十分に行い、夏から秋にかけてfMRI測定実験を遂行する計画である。脳波測定実験結果は本年度中にまとめ論文投稿する予定である。fMRI測定実験結果の解析には時間を要するため、来年度にまでかけてじっくりと解析する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験参加者費用:400,000円解析用PCの購入:500,000円国際会議参加: 300,000円論文校閲費用: 200,000円(2本分)消耗品購入費用:100,000円
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Research Products
(5 results)