2012 Fiscal Year Research-status Report
自己から他者への視点切り替えに関わる脳メカニズムの解明
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23700328
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川崎 真弘 独立行政法人理化学研究所, 脳リズム情報処理連携ユニット, 研究員 (40513370)
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Keywords | 脳波 / 視点変換 |
Research Abstract |
コミュニケーション時に相手の行動や意図を予測し理解するためには、自己から他者への視点変換が重要な役割を担う。しかし自己視点で見た視覚表象がどのように他者視点に変換された表象へ投影されるのか、その脳メカニズムは分かっていない。本研究ではこの視点変換に関わる脳内ネットワークを調べるために、自己・他者方向判断課題遂行時の脳波実験を行い、脳波リズムの同期現象に注目するとともにfMRIまたは脳波のソース推定を行って、その詳細な脳活動の特定を試みた。 その結果として、自己視点で視覚注意を向けた場合に頭頂のシータ波(6Hz)の増幅が左右どちらに注意を向けたかを表現した。さらに他者視点では、自己視点だけでなく相手からみた場合の左右も表現するようにシータ波が増幅した。この頭頂のシータ波は他者視点の場合に特に前頭と位相同期することが分かった。以上よりこのシータ波のネットワークが視点変換に関わる可能性を示した。現在、脳波のソース推定を行ってこのシータ波の根源を探ることで、視点変換に関わる脳ダイナミクスを調べている。 またこの視点変換の拡張研究として2者のコミュニケーションに関わる行動リズムと脳波リズムの同期現象に関する研究も遂行した。この研究では交互に発話する2名の脳波を同時に計測して、発話リズムの同期と脳波リズムの同期を調べた。その結果、行動リズムの同期が強くみられるペアほど脳波リズムも同期することが分かった。 以上の研究実績を国際誌の論文で発表した。現在、視点変換に関する解析を進め論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳波データの位相同期とソース推定のプログラム作成およびデータ解析に時間がかかったが、現在は解析結果をまとめて論文を準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に、視点変換に関わる脳ネットワークに関係する研究を学会にて発表し、その結果を論文としてまとめて投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、研究結果の学会発表と論文投稿のアウトプットまでを含めた予算を計画していたが、データ解析が多岐に及んだため遂行できていなかった。平成25年度では、これまでにまとめた結果をアウトプットするために、残額を学会参加費と論文校正費、論文投稿費に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)