2011 Fiscal Year Research-status Report
不完全観測下でのCox型計数過程モデルにおける3タイプ尤度推測の統合と用途開発
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23700336
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
杉本 知之 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70324829)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 統計数学 / 統計的推測 / 離散確率過程論 / 統計モデル |
Research Abstract |
平成23年度は,主として,本研究を遂行する上で核となる結果もしくは予想を確固たるものにするため,(1)セミパラメトリック・プロフィール尤度(SPL)と周辺部分尤度(MPL)を結びつけるものとして核となるハザード関数上の無限次元積分に対する,Laplace原理の精緻化,および(2)SPLと疑似部分尤度(PPLと略す)を結びつけるものとして核となる,スコア関数の前進と後退からなるマルチンゲール分解の定式化についての基礎研究を進めた.とくに,基礎研究(2)については研究論文として纏め上げることができた.また,本研究を有意義に遂行するため,研究全体を通して,次のような具体的な現象を扱うCox型計数過程モデル(a) Cox型治癒混合モデル,(b) 2重中途打ち切りデータ,(c) 欠測共変量をもつCoxモデルをとりあげて,新しく開発される理論・方法と,既存のものとの関連を精査しながら実施した.さらに,セミパラメトリック・プロフィール尤度からの推定量の分散推定量の定式化や数値計算を得るために,高次元の3重対角行列に関する新しい逆行列公式を提案し研究論文として纏めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究論文の公表化は,若干遅れがみられ,当初の計画以上に進展しているとはいえないが,研究内容自体は,過去の研究結果に基づいて,そこでの多数の失敗の経験を生かして得られた当初の着想に基づいて,順調に適宜解決され,進展している状況であるため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度までの研究で明らかにされた,3タイプ尤度の関係に基づいて,統計的推測の方法の統合とデータ解析への用途開発を行っていく.また,これまでに得られた一つの成果として,周辺部分尤度(MPL)からの推定量がセミパラメトリック・プロフィール尤度(SPL)からの推定量と互いに同等な漸近分布をもつという結果を研究論文として纏め上げる.基礎研究(1)-(2)とMPLのモンテカルロ近似を通じて明らかになってきた3タイプ尤度の長所を活用して,点推定と区間推定,変数選択を実施するための安定した計算手法の開発,もしくは計算の高速化を行い,現実的なデータ解析の使用に耐えられるような安定した計算技法の研究開発を行う.地域がん登録資料に対して,モデル(a)のセミパラメトリック接近法や樹木構造接近法を開発する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究内容は,広範囲にわたる数理科学分野に関係するため,重要な図書や,図書館等で閲覧できない文献を本研究経費により整備しておく.また,本研究経費において,研究成果を論文として纏める際に予想される英文校正や専門知識提供にかかる費用を計上する.本研究に関連する研究者達との交流を行い,効果的に研究を進めるために,年1回程度の海外出張と,年数回程度の国内出張を計画している.
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Research Products
(6 results)