2012 Fiscal Year Research-status Report
線形な変化係数の信頼区間の精密化と共分散構造分析への応用に関する研究
Project/Area Number |
23700337
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 健一 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (30284219)
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Keywords | 変化係数 / 同時信頼区間 |
Research Abstract |
経時測定データにおいて時間とともに変化する回帰係数は変化係数と呼ばれる. Satoh and Yanagihara (2010) は変化係数に線形性を仮定することで, 関数としての同時信頼区間を提案した. 基底関数として直線が適用された線形な変化係数は解釈が容易であるが, 測定時点数が多くなると非線形曲線の近似として充分でないことがある. 本年度においては, 直線を1 次スプライン関数で補ったセミパラメトリックな変化係数を考え, Brumback et al.(1999) の提案した混合効果モデルを用いた推定方法を新たに提案した. 結果は応用統計学に受理された. また, 変化係数の推定は,カーネル平滑化の要領で,固定した時点周辺の近傍データに対して局所的な回帰を繰り返すことで推定され,その信頼区間も固定した各点毎に構築されるのが一般的であった.近年,Satohand Yanagihara (2010) は,変化係数の関数形を線形に限定することで,t ∈ R での同時信頼区間を提案し,t の関数としての同時信頼区間を提案した.本年度は,信頼区間を構築する領域を観測時点の範囲といった有限区間t ∈ [a, b] に限定することで,より精密な同時信頼区間の構築法を提案した.結果は応用統計学に受理された. このように当初の目的であった「線形な変化係数の信頼区間の精密化」について成果としてまとめるとともに, 申請時には到達できる予定にはなかったセミパラメトリックな変化係数の推測まで結果を得ることができた.これらの提案手法は従来,経時測定データの解析において適用されていた分散分析における時間との交互作用を時間の関数として表現し,その同時信頼区間を構成するうえで有用であり,今後の医学・生物学などで需要が増す傾向にある長期観測データの解析において重要な結果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の目的の一つであった同時信頼区間の精密化について結果を得ることができた.残るは共分散構造分析への応用であるが,これについても論文化の準備が進んでいる.一方で,当初に予定していなかったセミパラメトリックな変化係数についても成果を出せた.当初の計画以上に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は現在論文化を進めている線形な変化係数の共分散構造分析への応用について注力していく。また,研究成果についても学会およびシンポジウムなどを通じて広く公表していきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の論文化を推進するために必要な数理統計関連図書の購入,共分散構造分析において広く利用されている統計解析ソフトAMOSの購入費,さらに統計解析の応用例や数値実験の質を向上させるための高速な数値計算環境の構築が必須であり,必要な最新のパソコンの部品を購入するために消耗品費を計上した.また,本科学研究費によって得られた研究成果を公表するためにシンポジウムおよび学会に参加し,そのための旅費を計上した.
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