2013 Fiscal Year Annual Research Report
線形な変化係数の信頼区間の精密化と共分散構造分析への応用に関する研究
Project/Area Number |
23700337
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 健一 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (30284219)
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Keywords | 変化係数 / 同時信頼区間 |
Research Abstract |
経時測定データにおいて時間とともに変化する回帰係数は変化係数と呼ばれる. Satoh and Yanagihara (2010) は変化係数に線形性を仮定することで, 関数としての同時信頼区間を提案した. 線形な変化係数として直線がよく使われ解釈が容易であるが, 一方で, 測定時点数が多くなると非線形曲線の近似として充分でないことがある. 本研究では, 直線を補う形で 1 次スプライン関数を利用しセミパラメトリックな変化係数を考え, Brumback et al. (1999) の提案した混合効果モデルを用いた推定方法を適用した. 線形性を仮定した変化係数は時間と共変量の交互作用項として様々な回帰モデルできるため応用範囲が広い. 冨田・佐藤・大谷ら (2010, 2012) および Tonda et al.(2012) ではコックスの比例ハザードモデルを用いて広島原爆被爆者の被爆時所在地によって変化する死亡リスクを推定し, 従来爆心地からほぼ同心円上に減少すると考えられていた死亡リスクが方角によっては非対称であることを示した. また, 冨田ら (2011) では時系列解析に応用し, 加茂・冨田・佐藤 (2011) ではがん統計データに対してポアソン回帰モデルを用いて年齢-時代空間上のがん死亡リスクの視覚化を試みている. 本研究で提案したセミパラメトリックな変化係数は新たに非線形構造が記述できるだけでなく, 線形性で十分であるという結果を導くこともできるため探索的な解析に有用である. 一方で, Brumback et al. (1999) の推定法は非線形性を抑制するためのリッジパラメータをランダム効果の分散に置き換えて最適化するため, 利用できるモデルが混合効果モデルおよび一般線形混合モデルなどに限定されてしまうという問題もある.
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