2011 Fiscal Year Research-status Report
大量のタンパク質リガンドデータより相互作用の構造的特徴をマイニングする方法の開発
Project/Area Number |
23700338
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
西郷 浩人 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (90586124)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際研究者交流、フランス、スイス |
Research Abstract |
本研究で開発するのは、創薬の際に薬の候補の化合物を絞り込むバーチャルスクリーニングの手法の一つである。化合物が薬として作用する際には、標的のタンパク質と結合する必要があるが、両者がどのように結合するかを実験で調べる、もしくは正確に予測することは必ずしも容易ではない。例えば創薬の重要なターゲットである膜タンパク質は構造を実験で決定することが困難であることが知られている上、従来主流の予測手法であるドッキングシミュレーションは立体構造未知のタンパク質に適用することはできない。そこで本研究ではデータマイニング及び統計的手法を用いて立体構造が得られない場合でも、化合物とタンパク質の相互作用の対を探し出す方法を開発する。具体的には、代表者がKDD2008で発表した方法を拡張する。この方法は化合物とその活性値との間の相関(正確には共分散)を最大化するような化合物の部分構造を探索して、逐次予測モデルに追加する。ドッキングシミュレーションと比較した本研究手法の重要な長所としては、大量のタンパク質と化合物(リガンド)を同時にスクリーニング出来るという点がある。また、複数のタンパク質と化合物を同時に解析することにより、タンパク質同士、もしくは化合物同士の相関や独立といった統計の概念を導入することも可能である。平成23年度は山西博士やPerret博士と打ち合わせを行い、研究提案手法の実装方法や、その他応用可能な分野等について議論した。また、山西博士とは正準相関解析で化合物とタンパク質の相互作用を予測する研究を国際誌上で共著で発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では平成23年度中に本手法では「正準相関解析に必要な正規化が難しい」という問題を解決する予定であった。この点に関しては、山西博士との議論の結果、化合物タンパク質間相互作用の予測精度の向上が目的であれば相関の最大化よりも共分散の最大化の方が適しているだろうということで解決した。相関の最大化と異なり、共分散の最大化は正規化を必要としないからである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目標は「化合物とタンパク質の相互作用部位の対を大量のデータよりマイニングする」ことであったが、山西博士との議論の結果、市販されている薬物とそれらの副作用情報を複数同時に使用することにより、ある種の薬物に共通する特徴的な部分構造を抽出するという研究の需要が大きいことが判明したので、このテーマを推進することとする。基本的実装方法及び使用機器に変更はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費は、学会発表や論文発表、共同研究者との相互訪問に充てる予定である。尚、平成23年度の研究費に残金が生じているが、これは共同研究者との相互訪問の実施時期が遅れている為であり、同名目で平成24年度に行う予定である。
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