2011 Fiscal Year Research-status Report
問題解決力育成を目指す統計教育の授業運営と評価の枠組み
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23700342
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
竹内 光悦 実践女子大学, 人間社会学部, 准教授 (60339596)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 学習指導要領 / 数学教育 / 教材開発 / データの分析 / 資料の活用 |
Research Abstract |
本年度は研究目的を踏まえ,研究調査の準備,教材開発,カリキュラムの検証,および関連のワークショップを開催した.本年度予定していた調査の主目的は新しく始まる学習指導要領における統計教育に対する状況を把握するためであったが,事前に行った教員および統計教育識者へのヒヤリングで,まだ検討準備段階であること,実施時期に近づかないと授業計画が不十分である可能性があることがわかり,より効果的かつ有意義な結果を得るために調査の時期を次年度に変更することとした.ヒヤリング等は個人的な意見交換に加え,関連学会への参加や中学・高等学校等の先生を対象とした研究会等で行ない,この考えに至った.これらのことから本年度は調査の準備として,調査項目等の検討など調査の設計のみ行った.また ICT を用いた教材開発および授業案の提案を踏まえ,携帯端末を用いた簡易データ分析ツールの開発を進めた.開発した簡易データ分析ツールは,PC,携帯電話,タブレット PC などさまざまな媒体で,同様のインターフェースを持ち,今回の指導要領で重要視されているデータの分布の可視化および関連する統計量の計算などを平易な操作で行うことができ,統計量を求めることをに主眼を置いていた従来の統計教育とは異なり,得られた情報をどう読み取るかの考える統計教育の実現に向けたツールと考えている.これらの研究結果は情報教育に関する学会で公表した.加えて,データの可視化の点で注目すべき誤読・誤用の統計グラフに関する教育カリキュラムの検討を行い,基礎調査を実施し,統計グラフ教育の有用さを検証した.これらの結果は数学教育に関する学会等で公表した.なお,関連学会における特別セッションをオーガナイザーとして企画し関連の情報発信を行い,また 200 人ほどの参加したワークショップも行ない,関連者間の情報交流も促せた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の評価の主な理由は本年度に実施予定の調査が事前のヒヤリングによって今年度の調査の実施ではあまり効果的ではないことがわかり,それらの実施を次年度に変更したことである.当初の予定では,新学習指導要領の実施に伴い,開始 1 年前からの授業準備を検討していると考えたが,当該分野の指導時期が年度の後半であることから,多くの教育機関で十分に検討していないことが分かった.これをうけ,関連研究者とも情報交換を行ったが,今年度の実態調査ではあまり効果がないとの意見が多く,このことから本年度は調査の準備にとどまった.一方で,指導要領等の内容を検証し,教材開発,授業法の提案,試験問題の開発などの研究を勧め,学会発表やワークショップの開催など一定の結果ができたことからやや遅れ気味ではあるが,おおむね研究は進んでいると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も本年度と同様に関係者および識者等の意見を取り入れ,調査・研究を進める予定である.調査に関しては,調査の時期を慎重に選び,その準備を行いながら進めていく方針である.また当初の予定通り,ウェブサイトでの適宜研究結果の報告など,関係者が研究結果を活用しやすいような工夫も行なう.次年度においても関連学会におけるセッションをオーガナイズする予定があり,すでに実施に向けた動きを始めている.次年度は研究目的としている授業が実践されることから,その分野の入試試験等に対する教員,教育組織の実態等の情報共有を目指している.また 3 月上旬には関連のワークショップも開き,より教育現場での事例や発生している課題等の情報交換を行い,それらの対策,検討を計画している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は本年度実施できなかった調査を実施する.具体的には中学校・高等学校の数学教員に面接調査を行い,現在の準備状況や今後の計画を詳細に調査する.特に現在抱えている問題や研究機関に期待している研究結果,例えばデータなどの教材やそれらを用いた教授法などの提供を聞き,教材開発の基礎資料化を検討,提案を行う.また児童・生徒・学生を対象とした統計教育(データを用いた問題解決に関する授業など)に対する意識調査を行い,これらの基礎資料化を目指す.これらの調査に必要とされる印刷費,通信費,旅費,消耗品費,人件費等を主に研究費の使用計画を立てている.またこれらの結果も含め,教材開発を行い,その動作確認等を実際のユーザとなる学生等に依頼する.以上の結果を公表するために学会での積極的な発表を計画している.
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