2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700343
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小泉 和之 横浜市立大学, 総合科学部, 助教 (70548148)
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Keywords | 多変量解析 / 漸近論 |
Research Abstract |
多変量統計解析の中でも重要な問題である欠測値を含む統計解析理論と多次元データが正規分布に従うかどうかを調べる正規性検定理論の研究を行った。この問題は古くから注目され、様々な研究成果がある。 本研究では近年盛んに研究されている高次元データの解析手法に注目した。するとそれらの理論のほとんどは正規分布の前提を必要としている。その正規性の仮定が妥当であるかを調べる正規性検定には通常の多次元データにおいては様々な方法があるが、高次元のデータについてはそのような方法は未だほとんど成果がないのが現状である。 そこで本研究においてはモーメントベースの正規性検定理論、とくに歪度と尖度に注目し、その検定理論における漸近分布の導出を高次元の枠組みで行うことができた。その1つとして正規化変換を用いた総括的な検定統計量の近似精度の改良を行った。 さらには共分散行列構造の推定という新たな視点から進めることにより、高次元のデータに対しても用いることのできる新たな多変量歪度、尖度の提案も行い、さらにそれらの漸近分布の導出を行った。それらの結果は論文にまとめ、現在、学術雑誌へ投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高次元のデータに対する正規性検定の理論として従来の結果の改良にも成功し、また、新たな切り口からのアプローチを行うことにより、通常の多変量データで用いられる歪度、尖度の自然な拡張である指標を提案し、それらの漸近分布を導出することもできたためおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在なかなか良い結果の出ていない欠測値を含む場合の統計解析手法については今後も精力的に研究を進めていく予定である。また、多変量の正規性検定についても今後は従来の方法とは異なる漸近展開公式を与えることによって近似精度のさらなる改良を目標としている。さらに高次元データに対する新たな指標として提案した検定統計量をより現実的に用いることが課題となっており、そちらの前進には共分散構造の推定法の改良が望まれており、共分散構造の推定に正規性の仮定を必要としないノンパラメトリックな方法を考えており、こちらも研究を進めていく。これらは購入した計算機があることで数値的な評価が多く与えることができ理論と数値の違いをうまく表現できるのではないかと思う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日常の研究において必要不可欠である文房具、紙、記憶媒体などの消耗品の購入に研究費を充てることを計画している。また、研究成果の発表と計算機によるシミュレーション両面の視点から持ち運びのできるパフォーマンスの高いノート型PCの購入も計画している。それらの出張旅費にも使用する予定である。さらに研究する上で必要となる知識の補填の観点から主に数学系の書籍の購入にも充てたい。
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Research Products
(6 results)