2012 Fiscal Year Annual Research Report
ポストゲノム機能解析を促進する新規データ統合手法の開発~新規共発現関係の探索~
Project/Area Number |
23700355
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
福島 敦史 独立行政法人理化学研究所, メタボローム情報チーム, 研究員 (80415281)
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Keywords | 共発現解析 / マイクロアレイ / トランスクリプトーム / データ統合 / 共発現差異 / differential correlation |
Research Abstract |
本研究は、遺伝子共発現解析による遺伝子機能予測を向上させるために、実験データセットごとの相関係数分布を考慮した重み付けを用いる新規データ統合アルゴリズムの開発を目指した。共発現計算には、多様な実験デザインの下に測定して得られた公共利用可能なマイクロアレイデータセットを使用する。共発現データの信頼性を高めるために類似尺度計算前のデータ統合手法に改善を加える必要があった。共発現データを計算する際、異なった実験デザインおよび種々の研究室から得られたデータの統合次第で共発現の結果が変化する。このため、異種のデータセットを統合する際にデータセットの各々が最終的な共発現結果へいかに寄与するかを効果的に測り、データの重み付けを行う合理的な戦略を採用した。 本課題により以下の成果が得られた。当初の想定とは異なる新たな研究の課題と発展とが生じたので、以下にまとめて示す。 (1) 実験データセットごとの相関係数分布を考慮した重み付けを用いる新規データ統合アルゴリズムの開発を進めた。しかし、データ統合の有効性を明白に示しうる手法および他手法との直接比較が難しいことがわかった。 (2) 二つの実験条件間における共発現関係を互いに比較し、統計的に有意に異なる共発現関係を考えることができる (共発現差異)。本研究ではトマトのマイクロアレイデータを用いて、これら共発現差異遺伝子の意義を調べた。その結果、リコピンやフラボノイド生合成経路の鍵酵素遺伝子が共発現差異遺伝子に含まれる可能性が示唆され、重複遺伝子間でも数は少ないが有意な共発現差異遺伝子が存在することを示した (Fukushima et al. Plant Physiol., 2012)。また、大規模な機能ゲノミクスデータから共発現差異遺伝子を同定するためのソフトウェア DiffCorr を開発した (Fukushima Gene, 2013)。
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