2011 Fiscal Year Research-status Report
マルチスケールシミュレーションによる核酸立体構造予測
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23700359
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
亀田 倫史 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 研究員 (40415774)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | RNA / 立体構造予測 |
Research Abstract |
本研究では、粗視化モデルによるMDシミュレーションと、その結果をもとにした全原子モデルによるMDシミュレーションからなるマルチスケールシミュレーションを用いて、RNAの立体構造予測を行う。H23年度は、このうち粗視化モデルの構築を行った。すでに申請時に1塩基を3球(リン酸・糖・塩基)で表現することなど、モデル構築はある程度進んでいたが、本年度は、球間の距離・角度・ねじれ角を拘束するばねの強度、および球間に働く静電相互作用、vdW相互作用の強度に関するパラメーターの最適化を行った。すでに立体構造が解かれているRNAに対して構造予測することで、これらのパラメーターの検証を行った。検証の結果、短めのRNA配列(<40塩基)であれば、ほとんどの場合、その立体構造を当てることができることがわかった。その立体構造を当てることができることがわかった。また、予測にかかる計算時間は、CPU1コアを用いた計算で、10分以内に終了することがわかった。最近RNAの立体構造を予測するコンテストが開かれたが(CruzJAetal; RNA-Puzzles:そこで出題された問題(5’-CCGCCGCGCCAUGCCUGUGGCGG-3’のdimer)に対して、本申請で開発した粗視化モデルを適用したところ、正解構造を予測することに成功した。構造予測の分野でこれまで用いられてきた、二次構造予測プログラムは、今回の問題のような多量体に対する予測は行うことができない。つまり、本申請で開発したモデルを用いれば、これまでの技術では構造を予測することが困難な問題に対しても、有効であることが示された。現在、粗視化モデルに関する結果をもとに、論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
東日本大震災によって、関東地区は節電する必要に迫られ、春・夏期に研究用計算機システムを長期間停止する必要があった。また、所属するセンターは理論系のみからなり、すべての研究を計算機を用いて行うため、優先的に電力を制限しなければならない施設に指定されているため、夏期に特に大規模な節電(15%以上)をする必要があり、停止する機器を決定するための調査業務に時間を取られた。また、来年度(H24年度)も節電する可能性が高いため、新たな計算機システムを導入することできない状況になっていることも研究が遅れている要因の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も夏季の節電対策のために、計算機システムを停止させる可能性が高いため、節電対策の影響を受けにくい外部の計算機センターの計算機資源を利用することで、研究が継続するように努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
外部の大学・研究所の計算機センターの使用料に充てる。また、電力状況が安定することが確実になった場合、計算機システムの導入に使用する。
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