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2011 Fiscal Year Research-status Report

シナプス可塑性をみちびくCaMKIIリン酸化の再構成系実験とモデルによる理解

Research Project

Project/Area Number 23700371
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

浦久保 秀俊  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40512140)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
KeywordsCaMKII / シナプス可塑性 / システム生物学 / シミュレーション
Research Abstract

まず、本年度は当初の計画の通り、CaMKII, CaM, PP1, Ca2+のみが試験管中で反応する再構成系を構築した。さらに、Phos-tagを用いてCaMKIIリン酸化を網羅的に観測する方法を新規に開発した。Phos-tagを用いてCaMKIIリン酸化を観測したところ、さらにNMDAR分子のCaMKII相互作用部位のペプチドを導入すると、いくつかのサイトのリン酸化に伴うPhos-tag SDS-PAGEのバンドシフトが消失することを発見した。 さらに、予想外の発見がもたらされた。CaMKII, CaM, PP1, Ca2+で構成される再構成系に加えてNMDAR分子のCaMKII相互作用部位ペプチドを導入すると、CaMKII-T286Pが二双安定性(Bistability)を示すことが発見された。CaMKIIがBistabilityを示すことは、CaMKIIに分子メモリとしての能力があり、長期増強(LTP)の維持のためにCaMKIIが機能を果たしうる可能性を示す。CaMKIIがLTPの入力に必要であることは多くの生理実験により実証されている。一方、CaMKIIがLTPの維持に必要であるかどうかは一致した見解が得られていない。この発見は、CaMKIIがLTPの維持に果たす役割について、一石を投じることになる。発見されたCaMKII-T286PのBistabilityはPP1濃度依存的であり、高いPP1濃度においてBistabilityは消失した。この現象は、一旦入力されたLTPの消失現象であるDepotentiationに対応する。また、薬理阻害実験より、BistabilityはCaMKIIの自己リン酸化サイクルとPP1の脱リン酸化サイクルのバランスにより達成されていることが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

まず、当初の計画の通りにCaMKII, CaM, PP1, Ca2+のみが反応する再構成系を構築した。さらに、Phos-tagを用いてCaMKIIリン酸化を網羅的に観測する方法を新規に開発した。さらに、構築した再構成系にNMDAR分子のCaMKII相互作用部位ペプチドを導入すると、CaMKII-T286Pが二双安定性(Bistability)を示すことが発見された。Bistabilityの発見は、当初の計画では予期していなかったことであるが、大きなインパクトを持つ発見である。CaMKIIに分子メモリとしての能力があり、CaMKIIがLTPの維持に機能を果たしうる可能性を示せたわけで、LTP維持のメカニズムの議論に新たな展開を与えるものと期待される。

Strategy for Future Research Activity

まず、平成23年度に発見されたCaMKII-T286PのBistabilityについて各種検証実験を行う。特にBistability状態におけるCaMKIIのうち、高い安定状態にあるCaMKIIと低い安定状態にあるCaMKIIを混合する実験を行うことでCaMKII-T286PがCaMKII分子間で伝わるのか否かを明かにすることを試みる。さらに、NMDA受容体ペプチドを加えるとなぜBistabilityが出現するのかを解明する実験を試みる。CaMKIIがBistabilityを示す可能性は、いくつかの理論研究から予測されている。しかし、NMDA受容体がなぜ必要なのかについて示唆を与える理論はない。特に、NMDA受容体ペプチドのCaMKIIへの結合条件や、NMDA受容体ペプチドのリン酸化サイトに注目して実験を行い、実験を元にCaMKII Bistabilityのモデルの再構築を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

CaMKII-T286Pが示すBistabilityについて、各種検証実験を行うためCaMや抗体などの消耗品を購入する予定である。さらに、平成24年度は得られた実験データを元にして数理モデルの構築を行うため、PCを購入する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Presentation] Phos-tag SDS-PAGEを用いたCaMKII自己リン酸化の定量的観測2011

    • Author(s)
      浦久保秀俊、黒田真也
    • Organizer
      バイオスーパーコンピューティングサマースクール 2011
    • Place of Presentation
      淡路夢舞台国際会議場(兵庫)
    • Year and Date
      2011年9月26-27日
  • [Presentation] Phos-tag SDS-PAGEを用いたCaMKII自己リン酸化の観測2011

    • Author(s)
      浦久保秀俊、黒田真也
    • Organizer
      第34回日本神経科学大会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜(神奈川)
    • Year and Date
      2011年9月14-17日
  • [Book] シグナル伝達のシミュレーション [シミュレーション辞典]2012

    • Author(s)
      浦久保 秀俊、黒田 真也
    • Total Pages
      1
    • Publisher
      コロナ社

URL: 

Published: 2013-07-10  

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