2012 Fiscal Year Annual Research Report
大脳新皮質の機能領野の空間的割り当てにおけるポリコーム群タンパク質の役割
Project/Area Number |
23700372
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平林 祐介 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (80447391)
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Keywords | 大脳皮質 / ポリコーム |
Research Abstract |
哺乳類の大脳皮質は部位ごとに特徴的な機能を担う。それぞれの機能を司る領野の大きさは大脳皮質が正常な機能を発揮する為に厳密に制御されていなければならない。これまでにそれぞれの領野の大きさや位置を決定するのに重要な分子がいくつか明らかにされて来たが、それらの分子の作用メカニズムはほとんど分かっていない。そこで本研究ではPolycomb複合体が大脳皮質の領野形成を制御する可能性を検討し、大脳皮質の領野形成メカニズムについて明らかにする事を目的とした。 申請者はこれまでにマーカーを使ったwhole mount in situ hybridization法、組織染色法によりPolycomb複合体が大脳皮質の領野形成に影響を与える可能性を見出して来た。そこで、本研究ではさらにニューロンの投射パターンから実際にpolycombが領野形成に影響を与えるかを調べた。そのために、Polycomb複合体の主要な機能を担う遺伝子であるRing1Bを、NestinCreERT2を用いて時間的空間的に条件的に遺伝子破壊した。その結果、野生型マウスにおいて感覚野に相当する部位において、この遺伝子破壊マウスでは脊髄に投射する運動ニューロンが増加していた。このことは、このRing1B遺伝子破壊マウスにおいて機能的にも運動野が拡大している可能性を示唆している。また、神経幹細胞がニューロンに分化した後にRing1Bを破壊してもこのような運動野の拡大はみられなかったことから、Polycombは神経幹細胞の性質を変化させることで大脳皮質の領野形成を制御している可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)