2011 Fiscal Year Annual Research Report
コンディショナルノックアウトマウスを用いた多動性疾患原因分子の検索
Project/Area Number |
23700374
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山崎 真弥 新潟大学, 脳研究所, 助教 (70401768)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 脳・神経 / AMPA型受容体 / TARPs / ノックアウトマウス / AD/HD |
Research Abstract |
<目的> 本研究の目的は、AMPA型グルタミン酸受容体の活性調節補助サブユニットγ-8(TARP γ-8)ノックアウトマウスが示す注意欠陥・多動性障害(AD/HD)様表現型、すなわち抗不安・多動行動の分子機序を解明することである。この目的のために、脳部位・細胞種特異的にγ-8を欠損させたコンディショナルノックアウトマウスを作出し、この表現型の責任脳部位を同定する。 <結果> TARP γ-8 nullノックアウトマウスの行動解析を行ったところ、新規環境において多動症状と抗不安行動を呈した。D2ドーパミン受容体ブロッカーであるハロペリドールを腹腔内投与すると有意に多動行動が減少した。多動症状の原因として脳内ドーパミン量の上昇が考えられたため、γ-8 nullノックアウトマウスの線条体ホモジネートを用いてドーパミン、セロトニンとその代謝産物量を測定したが、野生型と比較して有意な差は得られなかった。 Nullノックアウトマウスでは脳内のすべてのγ-8が欠損しているため、多動の責任脳領域を同定するために脳部位特異的ノックアウトマウスを作成した。これまでにGrik4-Cre,Emx1-Cre,CaMKII-Cre,GAD67-Cre,Pva1b-Creマウスとγ-8-floxマウスを交配させ、それぞれ皮質/CA3/線条体領域ノックアウト、興奮性ニューロンノックアウト、CA1領域ノックアウト、GAD67陽性抑制性ニューロンノックアウト、パルブアルブミン陽性抑制性ニューロンノックアウトマウスを作成し、それぞれ行動解析を行った。その結果、皮質興奮性ニューロンでγ-8の発現が除去されると多動症状が引き起こされることが分かった。そのときのAMPA型受容体タンパク量をウエスタンブロットにて測定したところ、γ-8の発現減少に付随してAMPA型グルタミン酸受容体GluA1およびGluA2サブユニットの発現量も減少していることが分かった。
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