2011 Fiscal Year Research-status Report
細胞接着斑形成に着目した神経軸索再生法開発のための基礎研究
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23700376
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
久保山 友晴 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (10415151)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | コンドロイチン硫酸プロテオグリカン / p21-activated kinase / 細胞接着班 |
Research Abstract |
脊髄損傷時に損傷部位に形成されるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)濃度勾配に遭遇した軸索終末部では、何らかの分子がこれを感知してプロテインキナーゼA(PKA)の活性化が生じ、この結果、細胞接着斑形成のダイナミクスが抑制され、軸索再生不全となる、という仮説を証明し、これを基に脊髄損傷治療法の確立を行うことが本研究課題の目的である。今年度は、細胞接着班の形成制御に関わるパキシリンの機能制御をすることが報告されているp21-activated kinase (PAK)が、本仮説に関与しているかどうかを明らかにすることを目的とした。まず、野生型あるいは、不活性化模倣、活性化模倣のPAKを作製し、それぞれ神経細胞に発現させ、CSPG濃度勾配上で培養した。野生型あるいは不活性化模倣PAKを発現させた場合、CSPG濃度勾配を横切る軸索はほとんど存在しなかった。一方、活性化模倣PAKを発現させた場合CSPG濃度勾配を横切る軸索再生が増加した。次に、野生型PAKを発現する神経細胞にPKA阻害剤を処置した結果、CSPG濃度勾配を横切る軸索の長さが増加した。一方、不活性化模倣PAKを発現する神経細胞にPKA阻害剤を処置した場合CSPG濃度勾配を横切る軸索の長さは増加せず、PKA阻害による軸索再生作用が阻害されていた。これにより、PKA阻害によってPAKが活性化することがCSPG濃度勾配上の軸索再生に重要であることが明らかになった。以上のことから、CSPG濃度勾配上の軸索終末部ではPAKの活性が抑制されていることが推測され、PAKを活性化させることが軸索再生を誘発することに繋がることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞接着班の形成制御に重要な役割を果たすパキシリンの機能制御に、PAKが関与していることを明らかにし、軸索再生におけるPAK活性の重要性を明らかにすることができ、本年度の目標を達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
CSPG濃度勾配に遭遇した軸索の終末部が、これを感知してPKAを活性化させ、細胞接着斑形成のターンオーバーを抑制し、軸索再生不全となる、という仮説を証明するため、さらなる細胞生物学的、分子生物学的検討を行う。また、これより得られる結果を応用し、鍵となる分子の活性を制御することにより、脊髄損傷動物において軸索再生を誘発させることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の内、約107万円は細胞培養用試薬、組織化学実験用試薬、実験動物、顕微鏡関連消耗品、分子生物学実験用試薬などの消耗品に用いる予定である。また、学会参加のための旅費に約5万円用いる予定である。本研究を遂行するにあたって必要な設備機器類は全て利用できる環境にいるので、設備機器類に研究費を使う予定はない。
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Research Products
(7 results)