2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞接着斑形成に着目した神経軸索再生法開発のための基礎研究
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23700376
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
久保山 友晴 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (10415151)
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Keywords | コンドロイチン硫酸プロテオグリカン / プロテインキナーゼA / dystrophic endball / p21-activated kinase / パキシリン |
Research Abstract |
脊髄損傷時に損傷部位に形成されるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)濃度勾配に遭遇した軸索終末部(dystrophic endball)では、何らかの分子がこれを感知してプロテインキナーゼA(PKA)の活性化が生じ、この結果、細胞接着斑形成のダイナミクスが抑制され、軸索再生不全となる、という仮説を証明し、これを基に脊髄損傷治療法の確立を行うことが本研究課題の目的である。昨年度までに、p21-activated kinase (PAK) がpaxillinをリン酸化してCSPG濃度勾配上の軸索再生を促進することを明らかにした。PAKはPKAによってリン酸化されることによって不活性化されることが報告されている。以上のことから、dystrophic endballではPKAが活性化しているためPAKが不活性化し、paxillinのリン酸化が抑制されているのではないかと考えた。そこで本年度はdystrophic endballにおけるPKAの活性を検討した。PKA活性の指標となるリン酸化PKAに対する抗体を用いて免疫染色を行い、軸索終末部におけるPKAの活性を可視化した。まず均一なlaminin基質上で成体ラット由来後根神経節神経細胞を培養した後、アデニル酸シクラーゼ賦活薬forskolinを処置した結果、PKAのリン酸化が増加することが明らかになった。よって本手法でPKAの活性化を検出することが可能であることが示された。引き続きCSPG濃度勾配基質あるいはlaminin基質上で培養した神経細胞の軸索終末部におけるPKAの活性を評価した。CSPG濃度勾配上のdystrophic endball では、laminin基質上の軸索終末部に比べてPKAのリン酸化が有意に増加した。以上、dystrophic endballにおいてPKAの活性が増加することを初めて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CSPG濃度勾配上で再生不全に陥った軸索終末部でPKAの活性が増加していることを初めて明らかにし、これまで不明な点が多かったCSPG濃度勾配の下流シグナルの一端を示すことができ、本年度の目標を達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
CSPG濃度勾配に遭遇した軸索の終末部が、これを感知してPKAを活性化させ、細胞接着斑形成のターンオーバーを抑制し、軸索再生不全となる、という仮説を証明するため、さらなる細胞生物学的、分子生物学的検討を行う。特にPKAの活性化機構に着目した検討を行う。また、これより得られる結果を応用し、鍵となる分子の活性を制御することにより、脊髄損傷動物において軸索再生を誘発させることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は予定通りに研究が進行したが、36,004円の残金が生じた。この残金は次年度に使用する。次年度の研究費の内、約98万円は細胞培養用試薬、組織化学実験用試薬、実験動物、顕微鏡関連消耗品、分子生物学実験用試薬などの消耗品に用いる予定である。また、学会参加のための旅費に約5万円用いる予定である。本研究を遂行するにあたって必要な設備機器類は全て利用できる環境にいるので、設備機器類に研究費を使う予定はない。
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Research Products
(10 results)