2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着斑形成に着目した神経軸索再生法開発のための基礎研究
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23700376
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
久保山 友晴 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (10415151)
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Keywords | コンドロイチン硫酸プロテオグリカン / 軸索再生 / プロテインキナーゼA / p21-activated kinase |
Research Abstract |
脊髄損傷時に損傷部に形成されるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)濃度勾配に遭遇した軸索終末部(dystrophic endball)では、何らかの分子がこれを感知してプロテインキナーゼA(PKA)の活性化が生じ、この結果、細胞接着班形成のダイナミクスが抑制され、軸索再生不全となる、という仮説を証明し、これを基に脊髄損傷治療法の確立を行うことが本研究課題の目的である。昨年度までに、p21-activated kinase(PAK)がpaxillinをリン酸化してCSPG濃度勾配上の軸索再生を促進することを明らかにした。また、PKAはPAKを不活性化されることが報告されており、昨年度までに久保山は、dystrophic endballではPKAが活性化していることを明らかにした。そこで本年度は、PKAの活性化機構の解明を目的とした検討を行った。 CSPG濃度勾配下で培養した成体ラット後根神経節神経細胞に対して、cAMPのアンタゴニストRp-cAMPS、膜貫通型アデニル酸シクラーゼ阻害薬2’,5’-dideoxyadenosine、細胞質型アデニル酸シクラーゼ阻害薬2-hydroxyestradiolを処置したが、いずれも濃度勾配を横切る軸索の長さは増加しなかった。またこれら阻害剤を処置した時、dystrophic endballにおけるPKAの活性は減少しなかった。一方、直接PKAの活性を阻害するKT5720およびmPKIを同様に処置したところ、PKAの活性は減少し、濃度勾配を横切る軸索の長さが増加した。以上のことから、CSPG濃度勾配上のdystrophic endballではPKAの活性が増加しているが、これはdystrophic endballでcAMPの濃度が増加しているためではなく、何らかの機構でPKAが直接活性化されていることが推測された。 本研究成果では、CSPG濃度勾配下で再生不全に陥った軸索を再生させる機序として、PKA阻害によるPAK、paxillinを介した再生機序を明らかにした。本成果は、脊髄損傷治療薬の新たな分子ターゲットを提唱するものである。
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Research Products
(10 results)