2012 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症関連遺伝子ディスク1のプライマリーシリアを介した神経新生調節機構の解明
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23700380
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
熊本 奈都子 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30467584)
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Keywords | DISC1 / 統合失調症 / 神経新生 / プライマリーシリア |
Research Abstract |
本研究は、統合失調症関連遺伝子DISC1とプライマリーシリアの関連を解析し、統合失調症の病態解明と治療応用への足がかりとなることを目指す。我々はレトロウイルスを用いた選択的遺伝子導入にて海馬神経幹細胞のDISC1をノックダウンし、プライマリーシリア形成不全が起こることをin vivoレベルで見いだした。また、Wntシグナルレポーターマウスを用い、プライマリーシリア形成不全が、新生神経細胞でのWnt活性亢進を引き起こすことも見いだしている。DISC1がプライマリーシリアの形成調節を介してWnt活性に作用し、細胞遊走や樹状突起の発達に関与する可能性を検討するため、DISC1ノックダウン新生神経細胞でWnt活性の亢進を抑え、細胞遊走や樹状突起の発達にどのような影響がでるか検討した。まず、Wnt活性の抑制にドミナントネガティブTCFを用いたが、Wnt活性の抑制作用が強過ぎたため、細胞死を引き起こし、解析が不可能であった。そこで、Wnt活性抑制作用が比較的穏やかな、機能喪失型βカテニンを用い解析を試みたところ、DISC1ノックダウンで見られる細胞遊走異常や樹状突起の発達異常が回復傾向を示すことが明らかになった。また、ドミナントネガティブDISC1をレトロウイルスを用いて海馬神経幹細胞に強制発現させでも、DISC1ノックダウンと同様の結果が得られた。(今後、n数を増やし、有意差をつける必要がある。)これらのマウスで統合失調症の中間表現形が認められるかどうか行動解析により検討する予定であったが、レトロウイルスを用いているため、動物実験施設の手続き上の問題により、現在のところ実現していない。
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