2012 Fiscal Year Annual Research Report
マウス大脳皮質形成において皮質深部で発現するリーリン蛋白質の機能解析
Project/Area Number |
23700384
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
廣田 ゆき 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00453548)
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Keywords | 大脳皮質 / ニューロン移動 / 脳室下帯 / リーリン / ApoER2 |
Research Abstract |
哺乳類大脳皮質は6層構造を持ち、各層を構成するニューロンはそれぞれ異なる領域に投射する。この層構造に異常が生じると、てんかんや精神疾患の原因になる。このように脳機能が発揮されるためには個々のニューロンが誕生場所から長い距離をダイナミックに移動して最終的な配列部位に到達することが重要であるが、この移動と層構造形成のメカニズムにはまだ未解明な点が多く残されている。本研究では、層形成に必須な細胞外糖タンパク質リーリンの脳室下帯における作用に着目した。リーリン蛋白質は脳表面に高濃度に存在し、移動ニューロンに働きかけることで層形成を制御すると考えられてきたが、深部の脳室下帯にも少量発現することが近年示唆された。胎生期の脳の各ステージにおける抗体染色を行い、リーリンが脳室下帯を移動中の介在ニューロンに発現すること、リーリン受容体ApoER2が脳室下帯に発現することを見いだした。さらにこの部位でApoER2の機能をRNA干渉法により阻害したところ、ニューロンが正常に比べての有意に脳表側へと分布がシフトした。またこの際、ニューロンの極性をゴルジ体マーカーで調べたところ、ゴルジ体の局在が脳表側にある細胞が増加した。脳室下帯で幼若ニューロンは一過性に多数の突起を持った多極性形態をとることが知られている。ApoER2を阻害したニューロンの突起を調べたところ、数が有意に減少していた。さらに初代培養系でApoER2の阻害を行ったところ、同様にニューロンの突起数の減少が認められた。これらの結果は、リーリンシグナルが移動開始直後のニューロンに対して突起形成と移動の制御を行うことを示唆している。
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Research Products
(2 results)