2012 Fiscal Year Research-status Report
シナプス小胞融合の可視化による小脳顆粒細胞のプレシナプス活性の解析
Project/Area Number |
23700387
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井端 啓二 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30462659)
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Keywords | シナプス / イメージング |
Research Abstract |
小脳顆粒細胞―プルキンエ細胞間のシナプス結合は運動学習、運動制御に重要な役割を果たしている。小脳顆粒細胞―プルキンエ細胞間のシナプス結合の活性をより詳細に解析するためには小脳顆粒細胞のプレシナプス活性の可視化が重要である。また既存のシナプス結合の維持及び、新しいシナプスの形成過程を明らかにする事は小脳回路の動作原理を理解するためには必須である。本研究では、神経細胞の神経伝達物質放出の様子と、シナプス形成に関わる因子を効率良くイメージングするためのシナプス小胞融合、シナプス形成因子のモニタータンパク質の開発を行い、このモニタータンパク質を小脳顆粒細胞で発現させ、顆粒細胞から伸びた軸索上の個々のプレシナプス活性およびシナプス形成因子の動態を可視化し解析する事を目的とした。小脳顆粒細胞のプレシナプス活性、さらにはシナプス形成過程の可視化を試みるために、前年度開発したプレシナプスタンパク質の他に、シナプス形成因子の動態を可視化するモニタータンパク質の開発を試みた。当研究室においてシナプス形成因子の一つであるCbln1の機能に関して、詳細に調べられており、Cbln1が小脳顆粒細胞とプルキンエ細胞間のシナプス形成、維持に必須である事が明らかにされている。このCbln1の分泌様式とシナプス形成機序との関係、さらにはプレシナプス活性との関係を解析するためのモニタータンパク質が作製出来たので、小脳顆粒細胞においてタイムラプスイメージングを行った。現在までの結果、Cbln1は神経細胞の軸索から分泌されている事が明らかとなった。しかしながらプレシナプスからの神経伝達物質の放出とは異なる様式で分泌されている事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の課題はプレシナプス活性のモニタータンパク質を小脳スライスに導入し、活動電位依存的な、且つ、自発的な活動をイメージングする事であったが、小脳顆粒細胞のプレシナプス活性とシナプス形成との関係を詳しく調べるためには小脳顆粒細胞の分散培養が適していたためこの系で実験を行った。シナプス形成因子の一つであるCbln1の動態を可視化するモニタータンパク質の作製を試み、Cbln1の特徴であるプレシナプス側のニューレキシン及び、ポストシナプス側のデルタ2グルタミン酸受容体との結合能を保持したモニタータンパク質を作製出来た。このモニタータンパク質を用いて神経細胞より分泌される過程を観察する事が可能となった。この様におおむね順調に伸展している。
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Strategy for Future Research Activity |
プレシナプス活性及びシナプス形成因子の動態をモニターするタンパク質を発現させ、上行線維、平行線維に存在するプレシナプスとシナプス形成過程の関係をさらに詳細に観察する。 また神経活動とシナプス形成、維持との関係を明らかにするために、神経細胞の活動を阻害する遺伝子、及び薬剤を使用し、それぞれのモニタータンパク質をタイムラプスイメージングにより観察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き小脳顆粒細胞のプレシナプス活性とシナプス形成との関係を詳しく調べるために小脳顆粒細胞の分散培養を用いてタイムラプスイメージングを行う。そのため細胞培養用の消耗品及びイメージング用消耗品の購入に研究費の大部分を充てる。
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