2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700389
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
波田野 琢 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60338390)
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Keywords | DJ-1 / 家族性パーキンソン病 / 膜輸送 / シナプトソーム / Synaptophysin / Rab3A |
Research Abstract |
パーキンソン病はドパミン神経細胞が変性し脱落する,変性疾患である.多くの遺伝的素因などが関係しているが,詳細なメカニズムについては不明な点が多い.本研究では常染色体劣性遺伝性パーキンソン病の原因であるDJ-1蛋白の詳細な細胞内局在に関して,免疫細胞化学および生化学的分画法を用いて検討する事を目的とした.DJ-1は細胞質だけでなく顆粒状に局在する事が明らかかとなった.詳細に検討すると一部はGolgi装置,シナプス小胞に局在を認めることが示された.シナプス小胞に局在しているDJ-1に関してimmunoisolation法を用いて検討したところ,Rab-3Aおよびsynaptophysinと同じ局在を示した.さらに,Forster resonance energy transfer法を用いてliving cellにおけるDJ-1とsynaptophysinとの機能について検討したところ,一部は相互作用している事が示された.また,シナプトソームおよび培養細胞の膜を精製してリコンビナントDJ-1を用いて膜とDJ-1との結合に関して検討した.正常型DJ-1は蛋白を介さず膜へ直接結合しているが,病的変異体であるL166Pは膜結合能が低下しており,これによりパーキンソン病を発症している可能性が示された.今回の結果より,DJ-1は膜輸送に関与していることが明らかとなった.現在までalpha-synuclein,LRRK2,Parkinは膜輸送に関与することが示されている.そのため,家族性パーキンソン病の黒質神経細胞の脱落は膜輸送の機能障害が原因の一つとして考えられる.このことは孤発性パーキンソン病にも当てはめることが出来る可能性があり,今後のパーキンソン病治療に一つの手がかりが示せたと考える.
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