2013 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質の神経活動による視床の発達期神経回路形成の制御
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23700393
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
鳴島 円 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30596177)
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Keywords | 視床 / 大脳皮質 / mGluR1 / 内側毛帯線維 / シナプス維持 / GluA2 |
Research Abstract |
25年度は、EVA樹脂を用いた大脳皮質の神経活動阻害による影響の詳細な解析を行い、あわせて1型代謝型グルタミン酸受容体(mGluR1)-KOマウスの解析を行った。 内側毛帯線維―視床VPmシナプスは発達期の余剰シナプス除去を経て生後21日齢までに成熟し、一つのVPmニューロンは単一の内側毛帯線維からの投射を受けるようになる。大脳皮質体性感覚野に生後21日齢から7-10日間、EVA樹脂を用いてGABA受容体の賦活薬ムシモールを投与すると、生理食塩水投与群と比較して有意に投射線維数が増加し、再多重化が観察された。ムシモールの効果は投与後1-6日では見られず、7日以降で確認された。また正常では生後28日齢以降でAMPA受容体EPSCが強い内向き整流性を示すのに対し、ムシモール投与群では内向き整流性が減弱する傾向にあった。AMPA受容体EPSCの内向き整流性はGluA2サブユニットを含まないAMPA受容体に特徴的であることから、ムシモール投与によりGluA2サブユニットを含むAMPA受容体の発現が増加したと考えられる。さらにAMPA受容体EPSCとNMDA受容体EPSCの振幅比がムシモール投与群では減少しており、NMDA受容体の受容体数やサブユニット構成が変化している可能性が示唆された。 次にmGluR1-KOマウスを用いて内側毛帯シナプスの解析を行った。mGluR1は皮質―視床シナプスに豊富に発現し、視覚系の網膜-外側膝状体シナプスでは成熟型のシナプス結合パタン維持に関わっている。内側毛帯シナプスでも生後28日齢以降で投射線維数の増加が認められ、mGluR1が体性感覚系で成熟型シナプス結合パタンの維持に関わることが示唆された。 以上の成果より、大脳皮質の神経活動が皮質―VPmシナプスのmGluR1の活性化を介して、内側毛帯線維の成熟型結合パタン維持に寄与する可能性が考えられる。
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Research Products
(2 results)