2012 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞活動が大脳皮質可塑性に果たす役割をin vivoで解明する
Project/Area Number |
23700399
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高田 則雄 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (50415212)
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Keywords | グリア細胞 / in vivo / 2光子励起顕微鏡 / シナプス可塑性 / 大脳皮質 / 脳血流 / マウス / カルシウム |
Research Abstract |
従来、脳の情報処理は神経細胞だけが担っていると考えられていた。グリア細胞は支持細胞として、神経細胞への栄養供給などに携わっているだけと想定されていた。近年の研究によって、グリア細胞が脳情報伝達に関与する可能性が指摘されていた。本研究以前には、脳切片を用いた研究しか報告されておらず、その上、全く相反する結果が報告されていた(シナプス可塑性にグリア細胞のカルシウム活動が関与するとの論文と、全く関連しないとの論文)。そこで本研究課題では、シナプス可塑性にグリア細胞が関与しているかどうかを、生きているマウスで検証することを目的とした。そのために麻酔下マウスの大脳皮質においてシナプス可塑性を誘導する手法をまず確立した。その方法とは、マウスのヒゲ刺激と大脳皮質下神経核であるマイネルト基底核への電気刺激を繰り返し行う方法である。この手法を用いて、シナプス可塑性誘導最中における大脳皮質脳細胞(神経細胞およびグリア細胞)の細胞内カルシウム動態を二光子顕微鏡観察を用いて計測した。また、微小透析法を用いた細胞外D-セリン濃度計測およびレーザードップラー血流計を用いた血流量計測も行った。シナプス可塑性に対するグリア細胞のカルシウム活動の関与を調べるために、アストロサイトのカルシウム活動が消失している遺伝子改変マウスに対しても上述の計測を行った。この結果以下を見つけた:大脳皮質にて可塑性誘導時にグリア細胞がカルシウム活動を示すこと;この活動に伴って細胞外D-セリン濃度が上昇すること;遺伝子改変マウスでは可塑性が消失していること;遺伝子改変マウスではD-セリン濃度上昇も見られないこと;遺伝子改変マウスの脳血流応答は野生型と同様であること。以上の結果から、グリア細胞のカルシウム活動がシナプス可塑性に大切であると結論した。
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Research Products
(7 results)