2011 Fiscal Year Research-status Report
脳の形態形成と神経回路形成におけるFGFシグナルの役割
Project/Area Number |
23700410
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 達也 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00568222)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脳 / 神経 / 発生 / 形態形成 / 神経回路 |
Research Abstract |
Fgf8発現細胞の発生運命を明らかにするため、Fgf8-CreER ノックインマウスとR26RlacZリポータマウスを用い、発生初期の様々なステージで薬剤Tamoxifenを与えることにより、Fgf8発現細胞を標識した。すると、Fgf8発現細胞は小脳へ分化することが明らかとなった。早い発生段階で標識すればするほど、より後方部/側方部の広い範囲にわたって小脳が標識された。この結果は、より前方部/正中部の領域ほどその分化には長い時間のFgf8シグナルが必要であるというloss of functionの結果に符号する。 次に、Fgf8aもしくはFgf8b cDNAをFgf8遺伝子座にノックインしたマウスを用いて、Fgf8aまたはbのアイソフォームだけを発現させたところ(Fgf8 flox/a;En1-Cre embryos、またはFgf8 flox/b;En1-Cre embryos)、中脳および小脳が欠損することを組織学的に確認した。Fgf8およびEn1、En2の発現をwhole mount in situ hybridization法で調べたところ、これらの遺伝子発現は正常に開始するが、維持されず、通常よりはやく消失することがわかった。また、Fgf8aまたはFgf8bのヘテロマウスの中脳/小脳の形態は、正常胚のそれと変わらなかった。現在、ホモ変異マウス、ダブルへテロ変異マウスの表現型を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の計画通り、Fgf8を発現した細胞の系譜やFgf8のアイソフォームの存在意義を明らかにすることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度に引き続き、Fgf8発現細胞の系譜と、Fgf8アイソフォームの存在意義について、計画通りに研究課題を推進する。本年度は、極めて効率よく研究が進んだため、少額の研究費を次年度に繰り越すことができた。また、次年度は、解析用に高価な試薬などの購入が見込まれるため、繰り越し分を含めて使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一般的な分子生物学的実験に必要な酵素類、キット、試薬類、免疫組織化学的実験のための各種抗体、プラスチック類、ガラス類を購入する。また、エレクトロポレーションするための多くのマウスを購入する。さらに、学会に参加するための旅費、および、成果を発表するための論文投稿料に使用する。
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