2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳の形態形成と神経回路形成におけるFGFシグナルの役割
Project/Area Number |
23700410
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 達也 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00568222)
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Keywords | 脳 / 神経 / 発生 / 形態形成 / 神経回路 |
Research Abstract |
マウスElectroporation法と最新のTet-onのシステムを組み合わせることにより、大脳皮質錐体細胞や、小脳のプルキンエ細胞、脊髄神経細胞において、発生後期や成体の任意の時期に遺伝子発現を制御することに成功した。ホメオボックス遺伝子Mbh1は胎生期の脊髄交連神経細胞で発現し、その運命を制御することが知られているが、本研究で開発した新手法を用いてMbh1を発現させたところ、恒常的プロモーターを用いて発現させた場合と同様に、交連繊維の数の増加が認められた。新手法は、分化した神経細胞において遺伝子の機能を調べるのに有用であると思われる。以上の結果を論文にまとめ、国際誌であるJournal of Neuroscience Methodsに掲載した。 また、Fgf8発現細胞の系譜の解析を行った。Fgf8-CreERノックインマウスとR26Rリポータマウスを用い、発生初期の様々なステージで薬剤Tamoxifenを与えることにより、Fgf8発現細胞を標識した。すると、Fgf8発現細胞は小脳へ分化することが明らかとなった。早い発生段階で標識すればするほど、より後方部/側方部の広い範囲にわたって小脳が標識された。各種マーカーを用いた解析により、Fgf8発現細胞は、小脳を構成する多様な細胞種に分化することがわかった。 さらに、Fgf8aもしくはFgf8b cDNAをFgf8遺伝子座にノックインしたマウスを用いて、Fgf8aまたはbのアイソフォームだけを発現させたところ、中脳および小脳が欠損することを組織学的に確認した。ホモ変異マウス、ダブルへテロ変異マウスの表現型を解析しようとしたが、遺伝子型を決定するためのPCRがうまく機能せず、解析ができなかった。現在、PCRの条件の改善を試みている。
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