2011 Fiscal Year Research-status Report
大脳基底核におけるトポグラフィック神経回路の発達を担う分子基盤の解明
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23700411
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Research Institution | 沖縄科学技術大学院大学 |
Principal Investigator |
星名 直祐 沖縄科学技術大学院大学, 細胞シグナルユニット, 研究員 (60598514)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 大脳基底核 / 神経回路 / 分子生物学 |
Research Abstract |
多様な脳高次機能を担う大脳基底核には、並列回路的に情報を処理するトポグラフィックな神経回路の存在が示唆されているが、回路のシナプス発達を担う分子基盤については明らかになっていない。本研究課題では、この回路にゾーン特異的に発現していることを見出したPCDH17とPCDH10を解析することにより、このトポグラフィックな神経回路の固有の機能を明らかにすることを目的としている。当該年度では特にPCDH17の解析を中心として行い、以下のデータを得ることに成功した。PCDH17の大脳基底核におけるシナプス局在の検討では、その詳細を明らかにすることができた。また、PCDH17遺伝子欠損マウスを用いた解析では、大脳基底核の線条体、淡蒼球のシナプス形態解析を行い、プレシナプスの小胞の数を制御していることを見出した。さらに、電気生理学的な解析からも皮質―線条体経路におけるプレシナプス機能の異常を見出した。さらに、PCDH17遺伝子欠損マウスの行動解析から、鬱様行動に関与していることを明らかにした。以上の結果をより、PCDH17はトポグラフィックな皮質ー大脳基底核神経回路網におけるシナプス発達を制御しており、そのシナプス機能の破綻が鬱様行動と関連している可能性を提唱しようとしている。これらの本研究成果は基礎神経科学の分野において重要な知見をもたらすにとどまらず、精神疾患の病態理解に近づく臨床的にも重要な研究成果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PCDH17の皮質―大脳基底核神経回路における役割は研究計画通りの一定の成果を上げることができたが、PCDH10の役割は未解明な点が多く残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
PCDH17の皮質―大脳基底核におけるシナプス発達における役割を明らかにする補完的な実験を行い、その成果を論文として発表する。PCDH10の皮質―大脳基底核におけるシナプス発達の解析をPCDH17と同様の解析を通じて明らかにしていく。また、トポグラフィックな皮質―大脳基底核神経回路を可視化させる遺伝子改変マウスを作製し、回路の詳細を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シナプス形態、機能を解析するための分子生物学的、神経解剖学的、神経生理学的実験に用いる物品を購入する。遺伝子改変マウス作製費用として用いる。
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Research Products
(1 results)