2011 Fiscal Year Research-status Report
新規神経軸索誘導分子FLRTファミリー蛋白質の機能解析
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23700412
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山岸 覚 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40372362)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / ミュンヘン |
Research Abstract |
1、発生期の視床大脳皮質経路形成におけるFLRTファミリー蛋白質の機能解析Unc5D、FLRT2コンベンショナル及びコンディショナルノックアウトマウス、LacZノックインマウスをドイツMax-Planck研究所のProf. Ruediger Kleinから譲渡して頂き、本学動物実験施設へと搬入手続きを行った。動物実験委員会及び遺伝子組み換え委員会に本実験遂行の為の申請を行いの承認を受けた。しかしながら、微生物検査にて、複数の陽性項目が見つかり、現在、熊本大学生命資源研究・支援センター動物資源開発研究部門(CARD)にて人工受精によるクリーニング作業を行っている。一方、Prof. Kleinの所有するNestin-CreマウスはFLRT2と同じ第12番染色体にトランスジーンが乗っている事が判明し、掛け合わせに不向きである事が判明した。従って、京都大学ウィルス研究所の影山龍一郎教授の所有するNestin-Creマウスを供与して頂く許可を頂いた。この事実が明らかになっていなければ、膨大な時間を費やす可能性が高かったので、未然に時間の損失を防ぐ事ができた。2、FLRTのフォワードシグナリングの解析神経芽細胞株SH-SY5Y細胞を用いてフォワードシグナリングの解析を行った。SH-SY5Y細胞はUnc5Dを内在性に発現しており、FLRT2を基質としてコーティングしストライプアッセイを行うと、これに対して回避反応を示した。次にFLRT2による細胞内シグナリングを解析するため、刺激に応答したチロシンリン酸化蛋白質を解析した。その結果、FLRT2刺激に対し、40 kDaと175 kDaに経時的なチロシンリン酸化する蛋白質を見出した。この結果はFLRT2によるシグナルカスケードを解析する上で重要な知見である。また、FLRT2とNetrinはUnc5に対して拮抗し合うことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1、発生期の視床大脳皮質経路形成におけるFLRTファミリー蛋白質の機能解析ネズミの搬入に予想以上の時間を費やしてしまっている。その理由としていくつか挙げられる。実験遂行に必要な本学の動物実験委員会とDNA組換え委員会の承認を得るまでに約3ヶ月以上費やした。その後、譲渡元であるドイツMax-Planck研究所でのマウスの繁殖を待ち、輸送手続きが行われた。また、輸送の段階になり、微生物検査に複数の項目で陽性が見られ、本学の動物施設への搬入が拒まれ、人工受精によるクリーン化が必要となってしまった。クリーン化の作業は各種トランスジェニックマウスから精子及び卵子を採取した後、予め採取しておいた卵子及び精子を用いて人工受精を行うので、一連の行程に約3ヶ月を要する。この作業は熊本大学生命資源研究・支援センター動物資源開発研究施設(CARD)で実行されている。 しかしながら、実験遂行に必要なネズミが搬入されれば、実験を行う準備は整っているので、繁殖したら直ちに実験を行うことが可能である。また、実験結果も約2週間で解析可能なので、24年度中には結果が得られると期待される。2、FLRTのフォワードシグナリングの解析上述した通り、神経芽細胞株であるSH-SY5Y細胞を用い、FLRT2刺激に対して応答する、40 kDaと175 kDaチロシンリン酸化する蛋白質を見出すことができた。また、FLRT2とNetrinがUnc5Dに対し、お互いに拮抗し合うことを293T細胞を用いた実験系見出したので、このプロジェクトに関しては比較的順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1、発生期の視床大脳皮質経路形成におけるFLRTファミリー蛋白質の機能解析:平成24年度は上述の通り、FLRT2の各種ノックアウトマウス、Unc5Dのノックアウトマウスのクリーン化を可能な限り迅速に進める。本学にマウスが搬入されマウスが成長すれば、直ちに交配し、繁殖させる。また、神経系特異的にCreを発現するNestin-Creと掛け合わし、コンディショナルノックアウトを作製する。組換えがきちんと確認され、FLRT2のノックアウトが確認されれば、様々な発生時期を選びDiIを視床にインジェクションして、視床-大脳皮質経路の投射について解析を行う。2、FLRTのフォワードシグナリングの解析:上述したFLRT2刺激によりチロシンリン酸化することが見出された蛋白を質量分析機により同定する。その後、cDNAライブラリより全長をクローニングする。初代培養した神経細胞に遺伝子導入し、形態学的解析を行う予定である。また、チロシン残基をフェニルアラニンに置換し、点変異を導入した場合、FLRT2シグナリング及び反発因子活性がキャンセルされるかどうかを解析する。一方、FLRTファミリー蛋白質やUnc5受容体と結合する事が知られているRndを含めた細胞内シグナリングにもフォーカスを当てて解析を進めて行く。C. リバースシグナリングの解析:Unc5ファミリーがリガンドとし、FLRTファミリーを受容体とした逆向きのリバースシグナリングに関してもフォーカスを当て解析を行う予定である。Unc5Dを基質としてストライプ状にコートし、その上に神経細胞を培養し、Unc5Dが反発因子として機能するかどうかを解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1、発生期の視床大脳皮質経路形成におけるFLRTファミリー蛋白質の機能解析:主な使用計画としては、上記計画に基づきFLRT2のノックアウトマウス、Unc5Dのノックアウトマウスのクリーニング費用、Nestin-Creマウスの作製費用、これらのネズミの輸送、飼育に掛かる費用を捻出する予定である。また、視床大脳皮質間の神経回路を可視化する実験に必要な抗体やリコンビナント蛋白質、試薬等消耗品を購入する。2、FLRTのフォワードシグナリングの解析:上述した通り、FLRT2刺激によってチロシンリン酸化される蛋白質を同定する為に、質量分析に掛かる費用を捻出する。遺伝子の全長をクローニングする為に、マウスの脳から作製されたcDNAライブラリーの購入やDNAのシークエンシングに掛かる費用を予定している。また、神経細胞の初代培養に必要な動物や試薬の購入を予定している。3、リバースシグナリングの解析:Unc5ファミリーがリガンドとし、FLRTファミリーを受容体とした逆向きのリバースシグナリングを解析する為に必要な抗体やリコンビナント蛋白質、試薬等消耗品を購入する。また、神経細胞の初代培養に必要な動物や試薬の購入も予定している。その他:研究成果を発表する為の日本神経科学会、日本解剖学会に出席する為の出張費やアメリカの北米神経科学会での発表に伴う海外出張費を捻出する。また、必要に応じて研究会やシンポジウムへの参加費用も予定している。更に、論文作製に当たっては、英文校正費用として支出する。
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[Journal Article] FLRT2 and FLRT3 act as repulsive guidance cues for Unc5-positive neurons.2011
Author(s)
Yamagishi S, Hampel F, Hata K, del Toro D, Schwark M, Kvachnina E, Bastmeyer M, Yamashita T, TarabykinV, Klein R, Egea J
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Journal Title
EMBO Journal
Volume: 30
Pages: 2920-33
DOI
Peer Reviewed
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