2012 Fiscal Year Research-status Report
新規神経軸索誘導分子FLRTファミリー蛋白質の機能解析
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23700412
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山岸 覚 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40372362)
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Keywords | 国際情報交換 / ドイツ |
Research Abstract |
A. 発生期の視床大脳皮質経路形成におけるFLRTファミリー蛋白質の機能解析 Unc5D、FLRT2コンベンショナル及びコンディショナルノックアウトマウス、LacZノックインマウスのクリーニング作業が終了し、本学動物実験施設へと搬入された。また、神経系で特異的に発現するNestin-Creマウスも京都大学ウィルス研究所の影山龍一郎教授から譲渡して頂き、本学へ搬入された。現在は交配を進めており、コンディショナルノックアウトマウスを作成しているところである。これは別のNestin-CreラインがFLRT2と同じ染色体12番に乗っていた事から、慎重に検討する必要が有る。一方、野生型のネズミを用いて視床の神経細胞を培養した所、FLRT2に対して強い反発作用を受ける事が明らかとなった。 B. FLRTのフォワードシグナリングの解析 神経芽細胞株SH-SY5Y細胞を用いてフォワードシグナリングの解析を行った。SH-SY5Y細胞はUnc5Dを内在性に発現しており、FLRT2を基質としてコーティングしストライプアッセイを行うと、これに対して強い回避反応を示した。次にFLRT2による細胞内シグナリングを解析するため、刺激に応答したチロシンリン酸化蛋白質を解析した。その結果、FLRT2刺激に対し、40 kDaと175 kDaに経時的なチロシンリン酸化する蛋白質を見出した。この結果の再現性が確認されたものの、両者の蛋白質を免疫沈降物として精製する事に難航している。2次元電気泳動で展開し、MSによる同定を試みようと計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大脳皮質視床間投射の解析に必要なFLRT2コンディショナルノックアウトマウスをドイツから搬入するのが大幅に遅延してしまったのが、主な原因である。ドイツから日本への輸送準備に時間が掛かった上、微生物検査で陽性反応が見つかり、本学動物実験施設への搬入にはクリーニングの必要が生じた。その為、熊本大学生命資源研究・支援センター動物資源開発研究部門にてクリーニングを行った。クリーニングは、マウス胎児の移植・出産、成長を待たねばならず、非常に時間のかかる作業であった。また、クリーニング終了時点では、雌のヘテロマウスのみの入荷であったため、繁殖にも長時間を要した。この為、実験開始時期が遅れ、実験の遂行・解析が当初の予定よりかなり遅延してしまった。以上の理由から、24年度に予定していた共同研究者との打ち合わせ、海外シンポジウムへの参加を25年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
A. 発生期の視床大脳皮質経路形成におけるFLRTファミリー蛋白質の機能解析:平成25年度は神経系特異的にCreを発現するNestin-CreによるFLRT2コンディショナルノックアウトを作製し、組換えを検討する。神経系特異的なFLRT2のノックアウトが確認されれば、様々な発生時期を選びDiIを視床にインジェクションして、視床-大脳皮質経路の投射について解析を行う。更には、大脳側に色素を注入し、大脳皮質視床経路も併せて解析する。 B. FLRTのフォワードシグナリングの解析:上述したFLRT2刺激によりチロシンリン酸化することが見出された蛋白を2次元電気泳動により展開し、質量分析機により同定する。その後、cDNAライブラリより全長をクローニングする。FLRT2によるリン酸化をSH-SY5Y細胞、及び神経細胞の初代培養にて確認する。また、チロシン残基をフェニルアラニンに置換し、点変異を導入した場合、FLRT2シグナリング及び反発因子活性がキャンセルされるかどうかを解析する。 すなわち、子宮内電気穿孔法によって点変異を導入された遺伝子を持つ細胞は大脳皮質への到達が早くなると予想される。 C. リバースシグナリングの解析:Unc5ファミリーがリガンドとし、FLRTファミリーを受容体とした逆向きのリバースシグナリングに関してもフォーカスを当て解析を行う予定である。Unc5Dを基質としてストライプ状にコートし、その上に神経細胞を培養し、Unc5Dが反発因子として機能するかどうかを解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
A. 発生期の視床大脳皮質経路形成におけるFLRTファミリー蛋白質の機能解析:主な使用計画としては、上記計画に基づきFLRT2のノックアウトマウス、コンディショナルノックアウトマウス、Unc5Dのノックアウトマウス、Nestin-Creマウスの飼育に掛かる費用及び人件費を捻出する予定である。また、視床大脳皮質間の神経回路を可視化する実験に必要な抗体やリコンビナント蛋白質、試薬等消耗品を購入する。 B. FLRTのフォワードシグナリングの解析:上述した通り、FLRT2刺激によってチロシンリン酸化される蛋白質を同定する為に、2次元電気泳動及び質量分析に掛かる費用を捻出する。遺伝子の全長をクローニングする為に、マウスの脳から作製されたcDNAライブラリーの購入やDNAのシークエンシングに掛かる費用を予定している。また、神経細胞の初代培養に必要な動物や試薬の購入を予定している。 C. リバースシグナリングの解析:Unc5ファミリーがリガンドとし、FLRTファミリーを受容体とした逆向きのリバースシグナリングを解析する為に必要な抗体やリコンビナント蛋白質、試薬等消耗品を購入する。また、神経細胞の初代培養に必要な動物や試薬の購入も予定している。 その他:研究成果を発表する為の日本神経科学会、日本解剖学会に出席する為の出張費やアメリカの北米神経科学会での発表に伴う海外出張費を捻出する。また、必要に応じて研究会やシンポジウムへの参加費用も予定している。 更に、論文作製に当たっては、英文校正費用として支出する。
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Research Products
(5 results)