2012 Fiscal Year Annual Research Report
視床運動核から皮質パルブアルブミン陽性ニューロンへの出力を形態学的に解析する
Project/Area Number |
23700413
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
倉本 恵梨子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60467470)
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Keywords | 神経回路網 / 視床-大脳皮質投射 |
Research Abstract |
本研究は、1個の視床ニューロンの軸索から大脳皮質の「ある機能グループ」に属するニューロン群の樹状突起へのシナプス結合特性 を網羅的、形態学的に解析し、その構造的特徴を読み解き、機能を推測することを目的として行っている。まず、「ある機能グループ 」を、パルブアルブミン陽性の fast spiking インターニューロン (PVニューロン) と設定した。そのため、PVニューロンの樹状突起をすべて可視化する必要があるが、これは当研究室で開発されたトランスジェニック動物、”PVマウス” を利用することで達成した。このPVマウスは、PVニューロンの樹状突起と細胞体が特異的に、完全にGFPにより標識されているので、抗GFP抗体により免疫染色を行うことで、PVニューロンの樹状突起と細胞体が特異的に可視化できる。次に、単一の視床ニューロンを軸索末端まで 完全に可視化することが必要だが、これには遺伝子改変シンドビスウイルスを用いた。この遺伝子改変シンドビスウイルスは、感染した細胞に膜移行性シグナル付きの赤色蛍光タンパク (RFP) を強制発現させ、感染細胞を軸索末端まで完全にRFP標識する。単一の視床ニューロンがウイルスに感染したサンプルを作製するため、適切に希釈したウイルス液をマウス視床に注入する実験を何度も行ったが、サンプルが得られる効率が悪く、予定どおり研究が進まなかった。サンプルが得られる効率が悪いのは、マウスの脳のサイズが小さく目標の視床VA-VL核やVM核に正確に針を入れることが難しいためである。そこで研究方法を変更し、PVマウスの脳のスライス標本を作製し、細胞内記録・染色法を用いて単一ニューロンを可視化することにした。この手法で単一の皮質錐体ニューロンの標識に成功し、錐体ニューロンからPVニューロンへの情報入力の解析を行い、成果が得られつつあり、学会、論文発表の準備中である。
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Research Products
(1 results)