2011 Fiscal Year Research-status Report
単一細胞にシナプス入力する神経回路と視覚機能を同時に可視化し解析する試み
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23700419
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
森 琢磨 生理学研究所, 生体情報研究系, 助教 (70545798)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ウイルスベクター / 神経回路 / 視覚 |
Research Abstract |
ヒトワクチン株(HEP-Flury株)に基づく、糖タンパク質欠損狂犬病ウイルスの作成について述べる。これまでに申請者らがアメリカで開発した糖タンパク質欠損狂犬病ウイルスは欧州動物実験株(SAD株)に基づくものであった。このウイルス株は弱毒化されているが、致死性があるため、致死性のないHEP-Flury株を材料に糖タンパク質欠損狂犬病ウイルスを作成した。次に、糖タンパク質欠損狂犬病ウイルスヒトワクチン株(HEP-deltaG)を用いた神経トレースの実施について述べる。後述する通り、HEP-deltaGはすでに確立されたSAD株同様のトレース効率を示した。逆行性に神経細胞を可視化するという特性を生かし、神経細胞の形態的特徴を解析中である。前述のHEP-Fluryに基づく糖タンパク質欠損狂犬病ウイルス(HEP-deltaG)を作製する上で、ウイルス作成効率に影響する要因のうち、これまで明らかになっていなかったことを2つ発見した。まず、RNAウイルスである狂犬病ウイルスのゲノムの末端構造を正確に作製する上で使用したリボザイム配列に、狂犬病ウイルス作成に適した配列があることを見いだした。これまでRNA5末端を切断するハンマーヘッド型リボザイム配列のリボザイム活性は野生型狂犬病ウイルスの作成効率に影響を与えないと考えられていた。しかし、糖タンパク質欠損ウイルスという増殖能に欠けるウイルスを作成する際には、このリボザイム活性は作成効率を大きく変化させることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規ウイルスベクターが作成され、その産生効率および感染効率は、すでに申請者が作製したSAD株とほぼ同様であった。これらのことから、申請書記載の実験は来年度に実行できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
特にエレクトロポレーションによる遺伝子導入効率を上昇させる必要があることが、これまでの予備実験の結果明らかとなっている。そのため、より多数の神経細胞に遺伝子導入が可能な、子宮内エレクトロポレーションを実施して、より効率の良いプラスミドやプロモータの検索を実施する。また余裕があれば、in vivo パッチクランプ法による遺伝子導入も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おもには、プラスミド生成やウイルス作成に必要な試薬や消耗品を購入する。また、今後の実験実施状況にもよるが、場合によってはin vivoパッチクランプ法実施に必要な機器を購入する。
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Research Products
(3 results)