2012 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド前駆体タンパク質細胞内輸送へのコレステロール代謝の関与機構の解明
Project/Area Number |
23700428
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
浦野 泰臣 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (00546674)
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Keywords | アルツハイマー病 / 脂質代謝 / 酸化ステロール / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
アミロイド前駆体タンパク質(amyloid precursor protein、APP)の細胞内輸送における24S-hydroxycholesterol(24S-OHC)の影響について、24S-OHC存在下でAPPへの結合が増加するタンパク質として昨年度同定された小胞体シャペロンであるGlucose-regulated protein 78 (GRP78)の解析を行った。24S-OHC処理した細胞では小胞体からのカルシウム放出と、それに伴う小胞体ストレス応答の誘導が起きていたことから、GRP78の発現誘導が小胞体ストレス応答によるものであることが明らかとなった。GRP78 siRNAにより24S-OHC誘導性のGRP78発現上昇を抑えたところ、24S-OHC処理細胞で認められていた未成熟型APPの蓄積やAβ産生抑制効果は減少した。これまでの結果から24S-OHCなどの酸化ステロールは、小胞体ストレス応答によるGRP78の発現誘導およびAPP/GRP78複合体の形成亢進を起こすことで、APPのCOP-II小胞を介した小胞体からゴルジ体への輸送を阻害した結果、Aβ産生酵素が存在するゴルジ体以降のオルガネラにAPPが到達せず、Aβ産生量が減少する可能性が示唆された。 また目的IIについて、APPの予想ステロール結合部位と推定されるVGSNK配列のうち、ヒト野生型APPを鋳型としてpoint-mutagenesis法によりバリン、セリン、リジンをそれぞれアラニンに置換した変異体を用いて、内在性に発現するAPPと同程度の発現レベルになるような安定発現細胞株を作製した。イムノブロット法を用いたAPPタンパク質量の確認およびELISA法を用いたAβの定量によりVGSNK配列のうちセリンとリジンが24S-OHCによるAβ産生メカニズムにおいて重要な役割を果たす可能性が示された。
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Research Products
(2 results)