2013 Fiscal Year Annual Research Report
ポリグルタミン病モデルを用いた神経細胞維持・変性に関わる新たな転写制御機構の同定
Project/Area Number |
23700430
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山中 智行 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (00381575)
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Keywords | 神経変性疾患 / 転写因子 / ポリグルタミン |
Research Abstract |
ハンチントン病等のポリグルタミン病は、優性遺伝性の神経変性疾患であり、原因タンパク質内のポリグルタミン鎖が異常伸長し、これが神経細胞の核内で凝集することにより発症すると考えられている。これまでに、我々は、病態モデルを用いたスクリーニング的解析により、ポリグルタミンタンパク質の新規ターゲットとして、転写因子NF-Y, Brn-2を同定してきた。本研究では、これまでのストラテジーを用いて、神経変性に関わる新たな遺伝子発現異常の解明を試みた。 まず、Panomics社のProtein-DNAアレイを用いた~250因子のスクリーニングにより、ハンチントン病モデルマウスの線条体、皮質で、それぞれ28個(17;減少、11;亢進)、10個(6;減少、4;亢進)の転写因子についてDNA結合活性が変化していることを見出した。このうちの1つ、E-box結合因子についてさらに解析を進めたところ、この転写因子は、変異ハンチンチン凝集体に結合することが確認され、共凝集がその活性低下に関与していると考えられた。さらに、クロマチン免疫沈降-DNAアレイ(ChIP-chip)により、E-box結合因子の直接の下流遺伝子を同定すると共に、その一部はハンチントン病モデルマウス脳で発現低下していることも見いだされ、これら遺伝子の発現異常がハンチントン病の病態にかかわっている可能性が示唆された。一方、NF-Yについて、ノックアウトマウスの解析やChIP-chip等により、NF-Yを介した遺伝子発現制御が神経変性に関わっている事も明らかとした。
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Research Products
(5 results)