2011 Fiscal Year Research-status Report
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23700435
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
湯山 耕平 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 特任助教 (80415546)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | エクソソーム / 中枢神経系 / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
さまざまな細胞から放出されるエンドソーム膜由来の細胞外顆粒であるエクソソームが、近年神経細胞からも分泌されることが報告されている。このエクソソームの放出はエンドサイトーシス障害時に亢進されることから、未分解分子の新規処理機構であるとの考察がなされている。本研究課題では、現在不明である細胞外エクソソームの脳内処理機構の探索をテーマとして進めている。予備的実験で、エクソソームがミクログリア細胞の貪食活性を促進することを見いだしており、ミクログリア細胞を中心にエクソソーム取り込み活性ついて解析する。また、アミロイドbeta蛋白質(Abeta)などエクソソーム結合性の神経変成疾患関連分子の取り込み・分解についても検討する計画である。23年度は、神経細胞株Neuro2A細胞由来のエクソソームを取り込み、分解する標的細胞種を、培養神経細胞、ミクログリア細胞を候補として検討した。その結果、神経細胞と比較してミクログリアは大量のエクソソームを短時間に取り込むことがわかった。また、Abetaが結合したエクソソームの場合、Abetaもエクソソームと共にミクログリアに取り込まれ、ミクログリア内のリソソームで分解されることを見出した。この結果は、エクソソームを介する新規のAbeta分解経路を示唆するものである。さらに生体内でエクソソームを取り込む細胞種を同定するために、マウス脳に蛍光ラベルしたエクソソームをマイクロインジェクションし、3時間後に脳を固定・摘出し、免疫組織化学によりエクソソームを含有する細胞を解析した。結果は、培養細胞を用いた実験と同様に、神経細胞、アストログリアと比較すると、エクソソームがミクログリアと共局在する像が高頻度で観察された。これらの結果から、中枢神経系においてエクソソームを取り込み除去する細胞はミクログリアである可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した平成23年度の研究計画である(1)ミクログリア細胞によるエクソソームの取り込みの確認、(2)ニューロンを含む各種培養細胞によるエクソソームの取り込み活性の確認、(3)取り込み細胞内でのエクソソームの可視化、(4)エクソソーム取り込みに関わる分子の同定が、ほぼ完了し、成果を論文発表した。このため24年度も研究計画に従い実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度の研究がほぼ予定通り遂行されたので、24年度は研究計画調書に記載した計画を進めていく予定である。具体的にはエクソソーム結合性の神経変性疾患関連分子(Abetaなど)のエクソソーム依存性の分解について解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度中に納品したが、支払いが次年度以降になったため、細胞培養用培地(DMEM high glucose 500mL, RPMI1640 500mL)、MACSストレプトアビジンキットの支払いに物品費として使用する。
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