2011 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞死を誘導するIPASの分子細胞生物学な機能解析とノックアウトマウスの作製
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23700437
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鳥居 暁 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (10444001)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アポトーシス / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
本研究においては、神経細胞死におけるIPASの細胞死制御機構の解析を行うことと、IPASノックアウトマウスを作製することでin vivoでの神経細胞死におけるIPASの生理機能の解明を目指すという二点を目的にしている。平成23年度の研究で、IPASは生存促進性のBcl-2ファミリータンパク質の中でも特にBcl-xL, Bcl-w, Mcl-1と相互作用することがわかった。さらにFLIM-FRETを用いた解析によってIPASとBcl-xLが生細胞内で近傍に位置し直接相互作用することがわかった。IPASはこれらの生存促進性のBcl-2ファミリータンパク質に結合し、Baxとの結合を競合することで、細胞死を促進することがわかった。これらの結果を国際雑誌にて発表した。さらに、EGFにような生存刺激によって、IPASの細胞質局在の増強が起こることがわかった。それに対して、DNA損傷を引き起こすカンプトテシンや鉄キレート剤のデフェロキサミン、低酸素のようなストレスによってIPASのミトコンドリアへの局在の増加が引き起こされると同時に、これまで見られなかった細胞質でのドット状という新たな局在が観察された。今後これらの局在変化に関してさらに解析を進めていく。また、IPASの内在性の抗体を作成し精製まで終了したので今後内在性のIPASを解析する予定である。さらにIPASノックアウトマウスは理研CDBとの共同研究で作製が進行中であり、平成24年度において解析することを目標としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記に記したように二つの大きな目的に向けた実験解析が進んでおり、新たな知見も得られている段階である。今度さらに解析を続けると共に、最大の目的であるノックアウトマウスの完成とその解析を早急に進める。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に見いだされたIPASの細胞内局在変化をさらに解析すると共に、パーキンソン病原因因子でありミトコンドリアに局在するParkinやPink1によってIPASが修飾、制御を受けないか、また相互作用がないかを解析する。IPASノックアウトマウスを作製し、実験的パーキンソン病モデルとして用いられるMPTP投与をマウスに行い、その細胞死の違いを黒質神経細胞のマーカー遺伝子であるチロシン水酸化酵素やグリア細胞のマーカーであるGFAP等を用いて観察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、大震災の被害を受けながらも今年度の研究を効率的に推進できたこと、またノックアウトマウスの請求がその完成後に請求されることとなった結果、発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、今後の計画している実験に使用する予定である。
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