2012 Fiscal Year Annual Research Report
C. elegansを用いた新規アミンシグナル調節因子の同定
Project/Area Number |
23700439
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
周防 諭 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (20596845)
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Keywords | ドーパミン / オクトパミン / C. elegans / 受容体 / 遺伝学 / ニューロペプチド |
Research Abstract |
本研究は、線虫C. elegansを用いてアミン神経伝達物質の下流で働くCREBが恒常的に活性化している変異体をスクリーニングすることで、ドーパミンやオクトパミンなどのアミンのシグナル伝達を調節する因子を同定することを目的としている。これまでの実験により、ニューロペプチドのプロセッシングに関わるカルボペプチダーゼEをコードするegl-21遺伝子の変異体でCREBの恒常的活性化が起こることを見出していた。C. elegansは非常に多くの種類のニューロペプチドとニューロペプチド受容体を持つが、25年度に行った解析の結果、NPR-1というニューロペプチド受容体がこの制御に関与することを明らかにしている。また、ニューロペプチドによるCREBの制御はドーパミンとは並列に働き、オクトパミンの上流で機能していることを明らかにした。NPR-1は餌によるシグナルに関与していることが示唆されているので、同じく餌により制御されるドーパミンシグナルと並列に働くことで重複した制御が行われていることが示唆された。 オクトパミンによるCREBの活性化にはSER-3オクトパミン受容体が必要であることがわかっていた。このシグナル伝達の更なる解析を行った結果、SER-3と相同性の高いSER-6受容体も必要であることが明らかになった。両者ともCREBが活性化するのと同じ細胞で働いていることを明らかにしているが、よく似た受容体であるにも関わらずどちらか一方でもなくなると、もう一方を増やしても正常なシグナル伝達が起こらないことも明らかにした。このことから、これらの受容体の制御にはこれまで知られていなかったGタンパク質共役受容体の制御機構が存在することが示唆された。
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