2011 Fiscal Year Research-status Report
グリア細胞情報発信の空間制御メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
23700442
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
篠崎 陽一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 講師 (10443772)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | アストロサイト |
Research Abstract |
アストロサイトにおいてATPの開口放出はどのような方向制御を受けるか、またその生理的意義を明らかにするため、本年度はATP開口放出イメージングのためのプローブ作成及びアストロサイトに方向性を持たせる実験系の構築を行った。蛍光タンパクラベル化VNUTコンストラクトの作成:VNUTのN末端もしくはC末端に蛍光タンパク(GFPもしくはRFP)を付加したコンストラクトを作成し、初代培養大脳皮質アストロサイトにトランスフェクトしてその発現を観察した。C末端に蛍光タンパクを付加したものは細胞全体にスポット状にシグナルが観察された。酸性小胞染色試薬であるキナクリンを用いてTIRF顕微鏡を用いて開口放出のイメージングに成功した。アストロサイトの方向性を持つ細胞ダイナミクスへのVNUT及び脂質ラフトの役割:本研究ではどのようにATPの開口放出が空間的に制御されるのかを解明する目的としている。そこで実験的にアストロサイトに方向性を持たせる実験系としてwound healing assayを採用した。初代培養アストロサイトをコンフルエントの状態になるように培養してピペットで傷をつけると、傷害部位へのアストロサイトの突起伸展が再現性よく観察された。傷害24時間後にFM4-64で細胞膜を染色したところ、突起先端部で多くの小胞様の構造が観察された。VNUT siRNAや開口放出を阻害するボツリヌス毒素の処置で突起伸展が促進される事が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はATPの開口放出を可視化するツールである蛍光タンパクラベル化VNUTコンストラクトの構築及び観察のためのTIRF顕微鏡のセットアップを終了した。また、VNUT含有小胞の確認と酸性小胞の開口放出観察には成功しており、概ね当初の予定通り進んでいる。また、本研究の目的である開口放出の空間制御メカニズムを解析するために適していると考えられるwound healing assayを立ち上げ、ATPの開口放出の空間制御メカニズム解析の準備も進んでいる。実験結果の一部からVNUTを介したATPの開口放出がアストロサイトの細胞極性の形成に関与する可能性が示唆された。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度作成したVNUT-GFPを発現させたアストロサイトでwound healing assayを行い、細胞の方向性とVNUT-GFPシグナルの局在との関係を明らかにする。その後、種々の細胞内シグナル分子に対する阻害剤を用いてVNUTの細胞内局在を制御するメカニズムを解明する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品費:本課題に用いる設備は全て所属する研究グループにセットアップされたもの及び大学の共通施設の利用で対処する予定であるので計上しない。消耗品費:初代培養細胞調製のため年間妊娠動物費50万円及び遺伝子発現、細胞染色、開口放出イメージングに関わる消耗品費約60万円を計上した。旅費:本研究課題により得られた成果を国内会議1回(5万円)及び国際会議1回(20万円)で計上した。人件費・謝金:原著論文作成時の校閲3万円を計上した。その他:動物飼育費5万円及び成果投稿費5万円を計上した。「次年度使用額」欄に90,631円を計上した。これは昨年度の研究における物品費の未使用分である。本予算は上記消耗品費に追加して使用する予定である。
|