2012 Fiscal Year Annual Research Report
DISC1/Neuregulin-1の細胞内輸送機構と統合失調症
Project/Area Number |
23700443
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森 大輔 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00381997)
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Keywords | 統合失調症 / DISC1 / ニューレグリン |
Research Abstract |
DISC1依存的Neuregulin-1の細胞内輸送メカニズムの解析 有力な統合失調症発症脆弱性因子であるDISC1およびNeuregulin-1に焦点を当て、その分子間ネットワークを解明することにより、統合失調症の分子病態を理解することを目的として、本研究を開始した。DISC1は前駆体型Neuregulin-1と分子間相互作用する。我々は、統合失調症様表現型を示すDISC1ノックアウトマウスにおいて、Neuregulin-1の分泌異常が現れていると仮説を立てた。 神経細胞において、詳細にDISC1と前駆体型Neuregulin-1の細胞内局在を検討したところ、ともにゴルジ体表面に強く濃縮していた。このことからDISC1はNeuregulin-1細胞内輸送と分泌の制御に関与していると考え、結合因子の網羅的スクリーニングを行った。その結果、DISC1と前駆体型Neuregulin-1に共通して、種々のアダプタータンパク質など、ゴルジ体を起点とする細胞内輸送に関与する分子を同定することに成功した。 我々は、前駆体型Neuregulin-1の細胞内輸送を評価する方法の開発に着手した。輸送の起点となるゴルジ体から細胞膜で剪断を受け成熟型Neuregulin-1を定量可能にするプラスミドベクターの開発に成功した。さらに、ゴルジ体からの前駆体型Neuregulin-1の出芽を同調可能にする培養系の確立に成功し、厳密な分泌の定量を可能にした。その実験系を用いて、海馬培養神経細胞では、DISC1はNeuregulin-1の分泌量を直接制御すること証明した。DISC1およびNeuregulin-1の共通のエフェクターの機能を解析することにより、分泌機構の解明の全容が可能になると考えている。
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