2012 Fiscal Year Annual Research Report
電位依存性ホスファターゼにおける電位センサーと酵素活性の共役メカニズムの解明
Project/Area Number |
23700446
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂田 宗平 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40528006)
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Keywords | イオンチャネル / 膜電位 / ホスファターゼ / イノシトールリン脂質 / 電位センサー |
Research Abstract |
我々のグループが発見した電位依存性ホスファターゼVSPは、膜電位を感知するドメインである電位センサードメインと、細胞内領域て酵素ドメインから構成されている。これまで我々は酵素活性の電位依存性を定量的に計測することにより、電位センサーが動くすべての膜電位範囲で、電位センサーと酵素活性が強く共役していることを示した。本研究ではこの研究をさらに発展させ、電位センサーと酵素活性が共役する分子メカニズムを明らかにすること目的とした。共役のメカニズムとして以下の2つの仮説が考えられる。一つは電位センサーが完全に活性化したときにのみ酵素活性が発揮されるモデルであり、もう一つは電位センサーが完全に活性化されなくとも、電位センサーが動作した大きさだけ、酵素活性が発揮されるというモデルである。どちらのモデルがより正しいか調べるために、電位センサーを不完全に活性化した状態(中間状態)で留め、その酵素活性を計測することを計画した。電位センサーを不完全な活性化状態に留めるために、種々の電位センサーの変異体を作成し、その動きを計測したところ、ゼブラフィッシュ由来のVSPにおいて4番目の膜貫通へリックスに2か所変異を導入することで、不完全な活性化状態に留まることができる電位センサーを作成することに成功した。この変異体の酵素活性の計測は、これまで我々がやってきたカリウムチャネルを用いた方法、およびPI(4,5)P2に特異的に結合することが知られているPH domainにGFPを融合したタンパク質を使用して行った。その結果、電位センサーが完全に活性化されていない状態でもVSPは酵素活性を発揮することが分かった。この結果は、VSPの酵素活性はスイッチのオンとオフの様なやり方で制御されているのではなく、電位センサーの動きに応じて段階的に活性の強さが決められていることを示している。
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